私は小さい頃からピンクを好きになれなかった。
好きな色は青。幼稚園の頃はなぜか空にとても憧れを抱いていた。久しぶりに幼稚園の先生に会った時、「雲の上で寝ることが夢って言ってて変わった子だった」と言われたくらい。私の青好きの原点はたぶん空だ。

小学生になっても私は青が好きだった。女の子はプリキュアが好きでもっとピンクに走る頃だろうが、私は仮面ライダーだった。プリキュアを代表するピンク色が、自分には弱そうに見えた。

私がかっこいいと思った仮面ライダーは、ピンクに変身することはなかった。赤、青、緑、紫など。戦隊モノにしてもピンクに変身するのは絶対女性だった。そこから私はピンク=女=弱いというような方程式ができてしまい、ピンクを好きになれなかった。

男に勝てないのが悔しい。自分の性別を象徴するピンクまで嫌いに

そもそも私は、女である自分が嫌いだった。ずっと男の子になりたかった。
運動で男子に勝てないのが悔しかった。私はもともと大人しく、静かな子だったが、親が体育会系で、運動を強要されていた。初めは嫌々だったが、クラスの女子の中で1番になったことで運動は私の誇りとなった。何に関しても運動で負けることはなかった。

しかし、男子に勝つことはなかった。数人には勝てるが、男子のトップ層に入ることはできなかった。私の方がたくさんトレーニングしてるのに。ここから私は女子という存在が嫌いになった。
私が男子に生まれていれば男子に勝てたのに。そう思うようになった。私は私の性別が嫌いだった。それを象徴するピンクも嫌いだった。

中学生になっても高校生になってもそれは変わらず、持ち物は基本青だった。シャーペンもテニスのラケットもスマホカバーも。
しかし、自分の性別に関して、毛嫌いはしなくなった。女に生まれた以上、仕方ないと思えるようになった。できれば男でありたいが、性転換をする気もないし、自分の性別は女だとしっかり認識できていた。

ピンクは弱くないし、かっこいい。ヒプノシスマイクが教えてくれた

ある時、ヒプノシスマイクというコンテンツに出会った。それは2次元の男たちがチームでラップバトルをするというものだ。そして、そこにはイメージカラーが存在する。
私の推しは赤で、他にも青、黄色、グレー、オレンジ、紫とあった。ここにもピンクは存在しない。

しかし、その世界には女もいた。その世界は女が牛耳っており、ラップバトルを仕切る女たちがそのピンクを背負っていた。
不思議なことに、その世界ではピンクが1番強い権力を有していた。それでも推しの敵ということでピンクは好きになれなかったが、その女たちのラップのPVが出た時、私はかっこいいと思った。

甘ったるく、女らしいかわいいラップをするのかと思いきや、力強い男にも引けを取らないかっこいいと思えるラップをしていた。低い声で男たちに「どけ」と言ったり、「気安く呼ぶな」と言ったり。私はこんなにかっこいいビビットピンクを知らない。

私はピンクもかっこよくなれるのだと、この時思い知らされた。私が弱いと勘違いしていただけだった。いや、私がピンクを弱くしただけかもしれない。
この年になってようやくピンクに近づけた気がした。