中高では、女性らしいと表現されるもの全てに拒否感を感じた
大学一年生の春休み、ふと暇つぶしに見ていたYouTubeから生まれた出会いで、私とピンクとの距離感はグッと変わった。
そのきっかけを話す前に、少しだけ、今までの距離感を話したい。
幼稚園から小学生にかけて、私は水色がどんな色よりも1番好きだった。ピンクなど大嫌いだった。
今になっては明確な理由がわからないが、好きなキャラクターが水色をベースにしていたことなどがあったのではないかと思う。ランドセルもそのキャラクターの水色を選んでいた。
親には、「六年間それでもいいの?」と聞かれたが、結果的にはそれでよかったと思う。
中学生から高校生にかけては拍車がかかり、自分のジェンダーもよくわからなくなっていたため、ピンクが苦手なだけではなく、フリルなど女性らしいと表現されるもの全てに拒否感を感じるようになった。
弟が仮面ライダーにハマった時には私も一緒にハマっていた。心のどこかで可愛い女の子よりも、カッコいいヒーローになりたかったのかもしれない。
推しとの出会いで、ピンクに対する意識がガラッと変わった
そんな距離感にあった私とピンクの距離感を変えたのが、冒頭で書いた出会い、推しとの出会いである。
初めは高校時代に友達からお薦めされたアイドルのYouTube動画を、コロナ禍で延びに延びていた春休みに、なんとなく平和で楽しいからと見漁っていただけであった。二次元オタクだし、アイドルにはハマらないだろうと思っていた自分に今の自分を見せてあげたい。メンバーカラーピンクの推しに、どハマりしたのである。
この出会いによって、私のピンクに対する意識がガラッと変わった。
彼はどちらかと言うと可愛らしい見た目をしており、ハマった当初はそこが魅力に感じていたのだが、それ以上の魅力を秘めていた。踊り出せばバチバチにカッコよく、時には儚く時には妖艶に振る舞う、その可愛いだけではない表現力である。
そんな彼に憧れを持ち、私の「ピンクは可愛らしい色、可愛い人しか纏えない色、女性というイメージを与える色」というイメージが薄れていった。
これからの人生は、もっと好きなものを好きと公言していきたい
また、以前はピンクや可愛らしい服を着ると自己イメージからの乖離から気分が悪くなったこともあった。しかしイメージカラーを纏ってみたくて、挑戦したアクセサリーや服を纏うことで幸せを感じることができるようになった。
「ピンクは誰でも身に着けることができて、可愛くもカッコよくもなれる」ことを知った。ピンクへのイメージの変化によって「着ても気分の悪くならない服」から「自分に似合って、なりたいイメージを実現する服」を選べるようにもなった。
少し話は変わるが、小学生の時以来ほとんど触れてなかったあのキャラクターが、アニバーサリーを迎えていたため、久しぶりに気になって特設サイトを覗いた。
そこには女の子だってかっこいいものが好きでも、ヒーローに憧れてもいい、好きなものを好きと言おう、のようなメッセージがあった。
今までの自分が肯定できなかった自分を肯定してもらえた気がした。危なく家族の前で、ファミレスで、涙するところであった。そのキャラクターへの愛が再加熱した。
そんな推しとの出会いからピンクとの距離感、ひいては自己肯定感に大きな変化があったのである。
今ではもう二十歳。これからの人生はもっと好きなものを好きと公言していきたい。自分を魅力的に見せたい。いろんな色を纏っていきたいし、ジェンダーも曖昧でいい。自分を肯定して、やりたいことをやって、そして推しとも、キャラクターとも、好きなものと共に自分の人生を歩んでいきたい。
最後にこの言葉で締めさせていただきたい。
推しよ、ありがとう。