私は28年ほど生きてきて、気付いたことがある。
それは「私は会話が下手くそで、語彙力が足りない」ということ。
だから、私がいま一番欲しいものはブランドバッグでもなく、デパコスでもなく「コミュ力(コミュニケーション能力)と語彙力」だ。

伝えたいことをいつもうまく言葉にできなくてごめん

もちろん、人と話すことは大好きだ。その日の出来事を何でも聞いてくれた優しい母に1から10まで話していた小学生時代だったし、大切な親友たちとカフェで女子会をしても、電話でおしゃべりをしても毎回何時間だって話せる気がする。彼氏と会えない夜は電話で2時間くらいなんでもないことを話したり、時々無言になったり。
そんな時間が私はどれもたまらなく好きだ。
だけど、これは私の話を聞き、相槌を打ってくれる母や友人、彼氏がいてくれるから成り立つわけで。
私も相手の話をうんうんと、聞くことはできるけど、自分の話をするときはいつも変な感じになってしまう。伝えたいことは頭の中にあるのに、どうしてもそれにぴったりの言葉がなかなか出てこないのだ。

結婚を見据えて真剣に交際している彼とは最近、色々な話をする。
その日の出来事の他にも家族や仕事のこと、お互いの趣味やお金のこと……。
彼は話し上手で聞き上手だから、彼の話にはよく例え話が出てきて、すごく分かりやすいし、私の「今日のお昼にお弁当こぼしそうになったから、明日からは気を付けようと思う」という日記のようなただの報告にも、「そっか、それは気を付けなきゃだね」と優しく相槌も打ってくれる。
だからつい、自分の話がヒートアップしてしまった時には「結局その話で、もぴちゃんは何が言いたかったの?」と困ったように笑って聞いてくる。惚気のように聞こえるかもしれないけど、またやってしまった……と毎回私は反省している。

なかなか話しづらいお金の話もしているし、彼となら何でも話せると思っている。そして、結婚して一緒に暮らすためにはお金が必要だから、お互いせっせと貯金に励んでいる最中だ。

大好きな彼へ。いつも本音を伝えることができなくてごめん

彼の趣味はゲームや動画を見ること。私の趣味は読書やライブに行くこと。
おすすめされた動画を楽しんだり、彼がゲームする姿を隣で見たりすると、今までゲームとは無縁だった自分が知らなかった世界も知れるし、何より楽しそうな彼の話を聞くのが私はとても好きだ。
私も好きなアイドルやバンドのライブ、本を静かに読む時間は本当にストレス発散になる。結婚したら自由に使えるお金は今までに比べると減ってしまうかもしれないけど、手が届く範囲内でささやかながらも好きなものは好きであり続けたいと思っているし、彼にも好きなものは彼の心の向くままに続けていてほしいと思っている。
だけど、彼は趣味のゲームを、これからの将来のためにお金がかかるから諦めようと思っていると話してくれた。そして、私がアイドルを応援していることをあまり快く思っていないことも(本当は嫌だけど、もぴちゃんの好きなことだしいいよと言ってはくれた)。
私はアイドルのライブにも行くけど、好きなロックバンドの曲を聞きたくて、小さなライブハウスにも足を運ぶ。応援をして元気をもらえるだけで、リア恋(その人たちにリアルに恋している訳)じゃないこともちゃんと伝えたかったけれど、ぴったりの言葉が見つからない。

大好きなのはあなただけだよ。
私はライブに行くと元気をもらえるんだ。ライブ会場までの道中も旅行みたいで好きなの。
結婚って自由も少なくなるかもしれないけど、その中でも小さな趣味はお互いに続けられたらなって思ってるよ。2人の貯金もコツコツ頑張るよ。
でも、やっぱり将来のためには「好き」を諦めないといけないのかなぁ。

伝えたいことはあるのに、伝えたら彼に嫌われるんじゃないか。
私の考えが甘いのか、間違ってるんじゃないか。
彼は真剣に私たちの将来やお金のことを考えて話してくれたのに、水を差すんじゃないか。
それとも将来のために、お金を貯めるために「好き」を諦めることが正解なのか。

ぐるぐると色々なことを考えてしまって、ぴったりの言葉が見つからなくて。
彼の気持ちに寄り添いながらも、自分の気持ちをきちんと伝える、ということができなかった。
彼の優しさとこれからのことを考えてくれる真剣さが伝わるからこそ、余計に自分の考えが間違っているのではと思って、きちんと伝えられなかった。

また、私は会話で失言もいくつかあるようだ。
彼と以前話をしたときに「私の言葉で傷ついたことってあった?」と尋ねると、「あったけど、忘れたなぁ」と言われた。
人は自分が発した言葉についてはすぐ忘れてしまうけど、言われた側は嬉しい言葉も、悲しい言葉も長く心に居座り続ける。私も相手から何気なく言われた言葉を言った相手は覚えていないかもしれないが、嬉しかったことも悲しかったことも何年経っても忘れられない。

大切な人とずっと一緒にいるために、私はコミュ力が欲しい

私は現在会社員として働いているので、共に働く同僚や上司、お客様に対しては敬語を使っている。大人として「敬語を使うこと」は大前提となり、それが常識と言われている。
外では常に気が張っている分、いつも自分のそばにいる家族、恋人、友人たちと話をするときはつい気が緩んで、自分の思ったことを相手の受け取り方を考えずにダイレクトに伝えてしまったり、適当な相槌を打ったりすることが無意識のうちにあったと思う。自分の身近にいる人たちこそ、本来ならばもっと大切にしなければならないはずなのに。
私の大切な人たちとこれからもずっと一緒にいたいから、自分の話し方や伝え方を改めたい。どんなに大切だと思っている関係もお互いの努力なしには継続なんてできないと思うから。

コミュ力を欲しがっている私だけど、お金を積めばすぐに手に入るわけじゃない。
今までの生き方が話し方に現れるともいうくらいだから、なかなかすぐに改善とはいかないだろう。だけど少しでも改善したいから本を購入し、言い回しや話し方のタイミングを現在勉強している。
彼とはこれからも色々な場面でお互いの話を聞き、自分の思いを伝える場面がたくさんあるだろう。
これからも大切な人たちに一緒にいてほしいから。私は相手の話をたくさん聞きたいから。相手の気持ちに寄り添った言葉選びができるように、自分の気持ちを正しく伝えられるように、これからも努力を続けたい。