ピコンという可愛いらしい通知音と共に、今日も君から連絡が来る。

LINEよりインスタのほうがずっと開くから、返事しやすいからインスタも教えてと君に言われて、「一体君は、わたしと何をそんなに連絡取る気なの?」と思いながらもインスタも教えた。
その時は、その「教えて」は社交辞令で、どうせ君からの連絡なんか来ないだろうと思っていた。初めの方に「教えてくれてありがとう、これからよろしくね」というよくあるテンプレのような会話をして、そのあとは特に連絡を取り合うこともなかった。
そんなもんだよなぁと少し寂しかったけど、わたしは君にとってきっとその程度の人間。そう納得した。
……そう納得したはずだったのに。

いつ返事が来なくなってもいいようにと思いながら返したのに

インスタは君の日常が見られて楽しい。キラキラとしたストーリーはわたしにはあり得ない世界で。
いいなぁと素直に思った。だけど、ある時ハートを押してみた。ストーリーにもハートが押せるんだといった好奇心からだった。ピコンと通知が鳴った。
「なんでハート押してくれたの?」
そこからだった。
「楽しそうでいいなって思ったの」
「楽しいよ。そっちは?」
初めはそれであっさり終わると思ってた。「じゃあね」なんて言わなくても既読で終わる。その程度の関係なんだと。
期待すると後で辛くなる。返ってくると思って連絡するのは辛い。だから、だからいつ返事が来なくなってもいいように。
そう思いながら返事をしていたのに。

なんでなんだろう。今では君から連絡が来るのが当たり前になってしまった。
おはようもおやすみも言わないで、ずっと続く会話。朝、昼過ぎ、夕方、夜。夜は何度もやり取りをする。まるで会話みたいに。何時間も返ってこないと不安になるほどにまで。
どうして返してくれないんだろう。なんかあったのかな。変なこと言っちゃったっけ。そう不安になってしまうほどまで。
ある時、君は未来の話をしてきたね。いつになったら会えるかな。早くわたしに会いたいと。
そんな未来、絶対に来ないのにね。だって会っちゃったらもう最後。きっとわたしは君の手を離せなくなる。だからわたしは悪あがきをする。

その手を離さなきゃとわかってる。ずるずる行った方が辛い

そもそも早く連絡を取るのをやめなきゃってわかってるのに。不毛。綺麗な君にわたしは汚すぎる。
君は本当に綺麗な人。綺麗すぎてわたしなんかには眩しすぎる人。直視すらできない。
だから早く言わなきゃ。わたしなんかに構わなくていいよって。もうやめよって。返事しなくていいよって。でもそれが言えないのはなんでだろう。
……それはきっとわたしに依存先がないから?寂しいから?不安定だから?
きっときっと全部だね。でも、早くその手を離さなきゃ。頭ではわかってる。だってずるずる行った方が辛い。

絆創膏はずっと貼りっぱなしにはできない。傷が瘡蓋になったらすぐに剥がさなきゃ。だってこのままだと癒着して、絆創膏を剥がすときに瘡蓋ごと取れてしまう。
そもそも最初っから絆創膏がなければ、傷口と癒着することもない。だったら何も貼らないで、自然に塞がるのを待った方がいい。
ただ、わたしの傷はいつになったら瘡蓋になるのだろう。きっと瘡蓋になることなんかない。だからわたしは自分でこの抱えた傷をどうにかして誤魔化して生きていくしかない。
知ってる。わかってる。ただ今だけ甘えてしまっているんだ、君に。

やっぱり返事がきたら返してしまう。ああ、今日も寝られない

でもね、絶対に君はわたしじゃない人と幸せになるべき人だってことも知ってるし、わかってる。それだけは確かだし、君には幸せになってほしい。
絶対にね、君とわたしの糸は確実に繋がってない。そもそも糸の色も長さもきっと違う。何かの間違えで今少しだけ交わってしまっただけ。
そしてそもそも君を絆創膏にしようとしてるわたしは、なんて悪女なんだろう。自己嫌悪。
でもやっぱり返事がきたら返してしまう。ああ、今日も夜が寝られない。君が寝るまで付き合ってしまう。
一定時間を過ぎて夜中になると、返事が来なくなる。君はもう寝たんだね。きっと5時間後にまた返事が来るんだろうな。そう思うと薄暗い感情じゃなければいけないはずなのに、すこし嬉しくて温かくなる。
でもそれは本当はダメなこと。だってそれは間違った感情だから。

だからだからこの薄暗い感情が、いつか正しいことで明るくなれますように。早くその手を離せますように。そう願いながらわたしも眠りにつく。全て忘れられたらいいのにと思いながら。