出産後も続くミッション。子どもが好きな私は、出産も育児もこわい
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出産はこわくて、とにかく不安。
私にとって、そんなイメージが強い。
ネット検索で見た「鼻からスイカが出る感じ」「生理痛の100倍の痛み」という言葉。
想像しただけで体が震える。
無事に出産できたとして、育児という新たなミッションが待っている。
怪我も病気もなく、元気な子に育てられるだろうか。
パートナーすらいないのに、いつ来るかも分からない未来の心配をする自分が少し滑稽。
私は子どもが好き。
子どもは良くも悪くも素直。
近くで騒がれるとびっくりしてしまうが、それでも明るくて元気な姿を見ると笑顔になる。
私も昔は、将来は可愛い子どもがほしいなと思っていた。
手を繋いで歌いながら歩く親子を見て、こちらが幸せな気持ちになる。
電車に乗っていて、ベビーカーの赤ちゃんがこちらを見てニコッとしてくれると癒される。
先日、地元で祖母のご友人のお孫さんと遊んだ。
小さな手、無邪気な笑顔、私を呼んでくれる声。
何もかもが愛おしくてたまらなかった。
でもそれは、他人の子どもだから生まれる感情なのかもしれない。
私は出産を経験したことがない。
でも、妊娠から出産の期間だけでも、想像を絶する大変さがあることは知っている。
育児もまた、相当苦労するだろうと思う。
婚活をしていたときに、男性からよくされた質問がある。
「将来、子どもは何人ほしいの?」
私は毎回、にこやかにこう答えていた。
「男の子と女の子、1人ずついたらいいなって思います」
初対面で子どもの話をしてくる男性は個人的に苦手なので、いつも内心引いていた。
「奥さんにはきちんと育児をしてほしい」
「子どもと家で待っていてくれる人がいい」
そんな理想を押しつけてくる彼らにはウンザリしていた。
つらい思いをしながら何年もかけて不妊治療をする夫婦。
オリンピック出場の夢も女性としての人生も諦めず、卵子凍結をしているアスリート。
みんな強い覚悟をもって「子どもがほしい」と言っている。
私にはそこまでできるのだろうかと考えてしまう。
子どもを眺めたり、触れ合ったりするのが好き。
でも、出産や育児をしている自分がどうしても想像できない。
以前、母に「どうして子どもがほしかったの?」と尋ねたことがあった。
母は「それが普通じゃない?」と答えた。
自然の摂理だと言ったらそこまでだが、産むか産まないかはその人の自由。
無痛分娩という方法もあるようだが、それでも母体への負担はかなりのもの。
育児だって、結婚相手によってはワンオペになる可能性もある。
実家を頼るのは正直厳しいので、自分一人で何とかしなければならない。
持病で心身が弱くなりやすい私が、たった一人で乗り切れるわけがない。
仕事と違って、育児には休みがない。
私の父親のように、育児に非協力的でおんぶにだっこな夫だったら。
体調を崩しているときに幼い我が子が泣きわめいていたら。
きっと私はイライラしっぱなしで、いつか限界を超えてしまう。
こんな心持ちの私が親になってはいけない。
無事に出産して、その子を幸せにする。
私にはそれができないかもしれない。
私がもっと思いやりのある、心身の強い人だったら。
きっと、堂々と「子どもがほしい」と言えただろうし、出産にも前向きになれたのかもしれない。
私がそうなるには、まだまだ時間が必要。
だから、じっくり出産について考えながら、変わっていきたい。
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