多くの人と関わるうちに、出産経験の有無が分かるようになった

出産を境に、女性は生き方が変わる。そして、その後の人生観が大きく変化する。
子供を産み、母親になるという責任感や母性本能が強くなるのは勿論の事、出産そのものが命がけであるのがその理由である気がする。
出産経験のある人にその痛みの具合を聞けば、鼻からスイカを出すくらい痛いとか聞いた事があるけど、ハッキリ言ってあり得ない事だ。それくらい痛いんだろう。男性は出産の痛みに耐えられず死んでしまうとも聞いたことがあるし。そんな命がけの事をして、人生観が変わらないわけがないのだ。

私は仕事柄、多くの人と関わる。プライベートな話も結構聞かせてくれる人が多い。その中で何となくその人に出産経験が有るか無いか分かるようになった。そしてその予想は大抵当たっている。
喋り方や性格は様々であるのに、圧倒的に違うものがある。それが、一番初めに描いた人生観である。人生観、と言うとちょっと大層に聞こえるかもしれない。簡単に言えば思想というか考え方が違うのだ。

メンタルが弱かった友人は、出産して強さを象徴する立ち姿に

出産経験のある女性は、とても現実的でリアルな話をしてくれる。生々しいと言うか一歩二歩先の現実を動かすような物事を気にしている。あそこのお店は向こうのお店より○○が安い、とかご近所さんの繋がりとか。
自分と家族を守る知恵と守ってきた経験が、彼女たちの根っこの強さになっている。

逆に出産経験のない女性は、自分の未来が自由であることを望んでいる人が多い。少女のようでフワフワと軽い人が多く、自分の好きなことをある程度の節度を持ってやっている。自分の為にお金を使う事を躊躇わない、躊躇う必要が無い人が多い。
一概に全てがそうというわけではないけれど、私の出会う方々の傾向として、そういったことが見受けられる。

2年前、出産という境を越えた私の大学時代の友人。彼女はハッキリ言って性格は天邪鬼。内弁慶で人見知り。メンタルも弱弱で、すぐに病んでしまっている子だった。
妊娠中もオドオド・メソメソとしていたのに、出産して2年の月日が流れてみれば筋肉もついて、立派に子供をあやすお母さんになっていた。喋ってみれば、性格も何もかもが変わっていないのに、子供を抱っこする彼女の姿は格好良かった。子供は脱力して彼女を頼りきっていて、それを支えられる強さを象徴している立ち姿だった。

彼女の行動が魔法のように見えたとき、出産の影響に気づいた

色々大変なことだらけで愚痴もあるし、ギーーッと歯を噛みしめて悔しいこともあるらしいけど、そんな話をしながら子供の世話をササッとやる彼女が、私の目には強い人に見えた。迷いが無いその行動と荒れていた場が一気に収まってしまう様が、魔法のように見えた。
天邪鬼で、すぐ逃げてしまう彼女が強い人に見えたのは初めてだった。だから私は、出産が女性に与える影響は凄まじいものがあると思っている。

そんな彼女との再会をした後、心底私は女性に生まれてよかったと思った。
毎月の生理や体の調子は煩わしいものがある。だけど、私は出産を経験できる可能性のある体を持っているのだ。それだけで自分が幸せなんだと思える。
まぁ、そもそも出産は1人で出来ないから、相手が居ないと選択も何もないわけだけども……。
それでもどちらになったとしても私の目に映る女性の強さは魅力的で魅惑的。だから自分も精一杯、この性を謳歌していこうと思う。