あの時、彼と別れていなかったら。
あの時、牡蠣にあたっていなかったら。
あの時、あの授業をとっていなかったら。
あの時、あの音楽番組を見ていなかったら。
あの時、箱根駅伝を観に行ってなかったら。
いつも気遣って励ましてくれる彼氏、本当に最高なんです
私の彼氏、本当に最高なんです。
私なんかにもったいないくらい、優しくて頭がいい人。
いつも私が行きたいところや食べたいものややりたいことに付き合ってくれて、実家にも病院にも付いてきてくれて、ちょっとしたお出かけでも迎えに来てくれて、オチのない話からこれから観に行く映画のネタバレも笑顔で聞いてくれる。
いつもどんな荷物でも持ってくれる。体調が悪くなった時、解熱鎮痛剤や栄養ドリンクに加え、漢方もわざわざ調べて買ってきてくれる。
思い通りにいかないとすぐカッとなって彼にあたってしまうけど、謝るチャンスをくれる。
志望理由を一緒に考えてくれたり、企業選びに付き合ってくれる。
外出やオンラインイベントや転職活動で外ヅラを酷使してヘロヘロになっていると、そのまま休ませてくれる。けどウズウズして動きたくなると、家事を任せてくれる。
眠れなくて涙が止まらなくて自暴自棄になっている夜は、寝ていても起きてなだめてくれる。
料理をしたくない私に代わって、料理をしてくれる。
一緒に住むときの家具やカーテンは私の意見を尊重してくれて、家電やキッチン用品選びでは彼のアイデアのシェアをして助けてくれた。
そう、私は彼氏と一緒に住んでいて、現在無職。転職活動中です。新卒で入った会社を1年で辞めてしまいました。
我ながらやばいと思います。あ、ちなみにさっきから登場している彼は、大学生です。
少ない貯金を崩しながらのんびり転職活動をしているのですが、2か月経ってもまだ働き口は決まりません。
おまけに、彼に会社を辞めると伝えたのは引っ越しの前日でした。これからお互い実家を出て2人で住むというのに、お金がすごくかかるというのに、辞めてしまいました。
一緒に住み始めると同時に転職活動を始めましたが、実は私、新卒の就活で体調が悪くなって就活浪人をするくらい就活が苦手なので、今回も同じく体調が悪くなりました。毎日毎日、頭が痛い気持ち悪いめまいがする体が熱い体が冷えるとぼやき、朝は起きられず、夜は寝付けないような生活をしています。
オンラインで転職活動しているからずっと家にいて、着替えもメイクもそこそこなのに、ご飯も作らないし掃除もしていません。そして、そんな自分に嫌気がさして情緒不安定にもなりました。
働きたくない、家事もしたくない、すべてがめんどくさい、生きていたくない、消えてしまいたい、ごめんなさい、と毎晩泣きました。
こんな人に出会えるなんて、あの日あの時、あの行動をしてよかった
そんな彼が私にかけてくれた言葉は、
「僕が社会人になるまでのこの1年だけ頑張ってくれたら、この先は働かなくていいよ」
「いつも笑顔でいてくれたら、それだけでいいんだから」
の2つでした。
1年だけ働けばいいの?わかった、そしたら好きなコスメのお店か興味のあるモノを扱う会社を受けてみよう!と決め、前向きに転職活動をすることができています。
売り言葉に買い言葉で動く私にはぴったりのキラーワードでした。
コロナ禍でのオンライン授業で知り合った彼に、こんなに支えられるとは。
彼は、たまたま先生が適当に決めたペアで、たまたまLINEで意気投合しただけで、たまたまBTSの話や駅伝の話で盛り上がってお付き合いすることになっただけなのに、こんなにも素晴らしい生活をさせてくれるとは思いもよらなかった。
彼と知り合ったあの授業を選んで本当に良かった。
たまたま音楽番組で2回もBTSを目にして、あの大ヒット曲にハマってよかった。あの年のクリスマスには、マッチングアプリで知り合った別の男性と食事に行くことになっていたけど、私が牡蠣にあたってリスケになって良かった。
その人ともいい感じだったから、もしかしたらもしかしていたかもしれないし。
彼と同じ大学にいてよかった。
いまさらながら、頑張って勉強して合格できてよかった。
受験期に支えてくれたあの塾の先生に出会えてよかった。
いい思い出は多くないけれど、あの高校に通っていてよかった。
あの高校へ後押ししてくれた塾の先生にも出会えてよかった。
いやな思い出ばかりのあの中学校の学区に引っ越してきてよかった。
受験で強みになった英語を頑張ってきていてよかった。
小学生の時、箱根駅伝を観てハマって良かった。
過去を肯定して幸せになれたのは、今までの決断の集大成
これまでの私はといえば、親に虐待されて小学校でも中学校でもいじめられて、大学生になってから持病が見つかって、やりたかったことをたくさん諦めて、社会人になってから発達障害ということが判明してうまくいかなくなって、いわゆる心の病気になって、新卒1年目で退職しています。
不器用で自己肯定感が低くて成功体験が積めず、とにかく生きづらくて、何度も何度も過去を消したいとか忘れたいとかやり直したいとか、とにかく自分と過去を嫌っていました。
だけど、今は少し許せるようになりました。
だって、彼と出会えて幸せでいられていることで、どんな小さな決断でも、今のこの生活につながっていると知ったから。
就活浪人をするか卒業するか、当時の彼氏と関係を続けるか、どの授業をとるかとか、そういう重めの決断だけではなくて、マッチングアプリでいい人を探すときの検索条件とか、音楽番組を見るかニュースを見るかとか、そういう小さなことも今の幸せにつながっている。
私や過去やこれまでの決断を、少し前向きにとらえることができました。
現在ももちろん、私の悩みのタネである持病や障害そのままの等身大の私でいさせてくれて、幸せにしてくれています。
おまけに彼との未来も楽しみで仕方ありません。
世の中はつらいことばっかりって聞いてきたから、長生きしたいなんて今まで一度も思ったことがなかったのに。
過去、現在、未来、全部を前向きにしてくれた彼氏。
そんな彼氏に出会えたのは、私の大小の決断があったから。
やるじゃん、私。ありがとう、過去の私。
これからは、彼との幸せになれる軸を持って決めていこう。
明日面接の会社はなかなかいいところだから、もう一回面接の練習してから寝て、明日の朝は余裕をもって起きよう。
もしかしたらこういう小さな努力が、私たちの未来を変えてくれるかもしれないね。というか、変えてきてくれたのかもしれないね。
もしあの時私が、英語を頑張らないっていう決断をしていたら。
もし私が、高校受験や大学受験から逃げるという決断をしていたら。
もし私が、就活で折れた心を修復しないという決断をしていたら。
なんとなくの選択でこの幸せにたどり着けたと思っていたけれど、そうじゃなかったのかもしれませんね。
私はこれからどこで働いて、どうやって成長していくのかな。
楽しみです。