結婚や出産、育児をしている友人をみると「いいな」と思う
「報告」。
この2文字から始まる同年代からのLINEやSNS投稿、もう幾度となく目にしてきた。
たいていの内容は結婚。最近は懐妊であることも増えてきた。
もちろん喜ばしく、私も幸せな気持ちをもらい、「おめでとう!」とメッセージを送ったり、いいねボタンを押している。
が、年を重ねるごとに、もやもやとした気持ちに侵食されていると感じている。
私は連絡を取り合う仲の友人は少ないが、そのうちすでに結婚したのは8割を超えるほどになってきた。
いいなぁ、と思いつつ、「いいなぁ」と既婚者に言うと、「いいことばかりじゃないよ!」とパートナーの愚痴大会や子育ての苦労話になる。せっかく今、この時間は家庭から離れて友人と過ごしているのだから、あまりネガティブな話ばかりをするのも気が引ける。うらやましい気持ちに、そっと蓋をすることが増えた。
願望が頭を埋め尽くす夜は、友達のLINEアイコン巡りをする
私には、同棲しているパートナーがいる。
彼の口から「来年中には……結婚を……」と言質を獲得したのは、昨年末の私の実家にて。
その後、具体的な話はほとんどなし。
あれ、気づけば今年の真ん中が見えてきましたけど……?と問い詰めたい気持ちをぐっと抑えるここ最近である。
こんな風に願望を押さえてばかりで、時々息が詰まりそうになる。
そんな夜に決まってするのが、LINEの友達のアイコン巡り。
自分でもかなり気持ち悪い趣味だと思っているが、この場だけで公開することで、邪念を供養させてほしい。
前述の通り、私には連絡を取り合う友人は少ない。が、学生時代から携帯番号を知っている友人は、初期に電話帳と連携させたときにLINEアカウントが友達登録され、今も見られる状態である。くれぐれも通話ボタンは押さないよう注意しながら、上から順にアイコン写真を眺めるのだ。
華やかなブーケ、指輪をした二人の手、ドレスアップし微笑みあう二人。
いいなぁ。自分が結婚したら、どんなドレスがいいだろうか、どんな式にしようか。そもそも、結婚式するのかな。
赤ちゃんの小さな手、純粋無垢な笑顔。
かわいいなぁ。他人の子供がこんなにもかわいいのなら、自分の子供のかわいさに触れたら爆発してしまうのではないだろうか。
子供を肩車する父の背中。小学校の時ふざけてばかりだったあいつ……今はどんな父親になったんだろう。
私だって、いつか……。
ふと隣に目をやると、すでにすやすやと寝息を立てる彼。
今も幸せなのは間違いないが、ないものねだりしてしまう
ところで、私はなぜこんなにも、結婚したい、子供が欲しいと思っているのだろうか。
結婚だけが幸せではない、という最近の風潮はもちろん理解している。
彼と過ごす今が、とても幸せであるのは間違いない。
この先も彼と一緒にいられればいい、という思いは大前提として持っている。
ぼんやりとではあるが、彼と確証された関係になることを願う私もいる。
子供が好きだし、可能性があるのならば子供を産み育てるという経験をしたい、とも思っている。
かたや、3人に1人は離婚する時代、と言われている。育児に悩むママたちの嘆きはSNSでたくさん目にしている。
結婚し、子供ができたからと言って、その後一生幸せのまま添い遂げられるとも限らない。
理想と現実が頭の中で渦巻き、ブラックホールのように、私の眠気を吸い取ってしまう。
眠らなきゃ、と思いつつ、全員見終わるまでやめられない。
今後連絡を取ることがないであろう人もたくさんいるから、いっそ断捨離してしまおうかと思うときもあるが、どうしても気になって、削除ボタンが押せないでいる。
私のこの満たされない気持ちは、果たして今後なくなるのか、はたまた、形を変えて居座り続けるのか。
ないものねだりの私の夜は更けていく。