私は最近観たニュースでドキッとした一報があった。
それは、未遂に終わったが私が体験した出来事。

彼との出逢いはInstagram。
日本語で来たDMに返信をしたことから始まった。
「こんにちは」
彼の名前はジェシー。
アメリカ出身で、韓国人のお母さんを持つハーフだそう。日本に憧れを持ち、日本に来るのが夢だと話した。
「職場に3ヶ月のお休みを申請している。その許可が降りたら日本語の勉強のために日本に行きます。そしたら日本語を教えてくれる?」
私も英語が学びたかったから、それを条件に「もちろん」と返信した。

Instagramで出会ったイケメン。刺激的なロマンスに心が躍る

日本にいる私とアメリカにいる彼は時差が13時間ある中で、おはようからおやすみまで、拙い日本語と丁寧すぎるであろう英語で会話をした。
毎日連絡を取り合って、彼とのLINEは日課になった。
そうしているうちに私は彼に好意を抱いていた。

なんせアメリカと韓国のハーフ。
顔がとても整っていたし、筋トレが日課だと言っていて身体もムキムキだった。
それはそれはイケメンだった。
こんなイケメンと連絡が出来るなんて、私は前世でどんな徳を積んだんだろう?とすら思った。
毎日が楽しくて、恋する感覚が久々だった私は舞い上がっていた。
同じタイミングで彼も好意を抱いてくれていて「Will you be my girlfriend?」と言われ、私たちは付き合うことに。
会ったこともない、出会いはInstagram、そしてイケメン、そんな刺激的なロマンスに私は心がとても踊った。

それからも相変わらず連絡は毎日だったが、ひとつだけ変わったことがあった。
さすがアメリカン。
「Sweetie」「My Queen」「My love」などなど呼び方がとても甘くなった。
今までは日本人としか付き合ったことがない私。
毎日ドキドキして、毎日ニヤニヤして、彼をどんどん好きになっていくのが自分でも分かった。
時差のある生活にも慣れて、「日本に早く来れたらいいね」「早く会いたい」とお互いに伝え合い、本当に幸せな日を過ごしていた。

彼のフォローを確認し、目が覚める。これは国際ロマンス詐欺では

向こうがお昼の間、こちらは夜。
私が寝ている間にたくさんのLINEが来ていた。読んでみると「3ヶ月の休暇の申請が通った!日本に行けるよ!やっと会えるね」というLINEが3通に渡って全て長文で送られてきていた。
私はとても喜び、やっと会える!!!!と何回もジェシーと喜びを共有した。
「日本でオススメのホテルは?」
「ここに行こう!」
「このプランはどう?」
などと、いつも以上にたくさんのLINEのやり取りをした。
楽しみすぎて、毎日にやけていたのを覚えてる。

そろそろ日本に来るにあたって本格的に動き出そうと準備をしていた彼が「先に日本に荷物を送ろうと思う。君へのプレゼントもね。だから受け取ってくれない?」とLINEが来た。
私は当たり前に快諾し、電話番号と住所を教え、彼が荷物を送るのを待っていた。
その連絡を待っている間に、ふと彼は誰をフォローしているんだろう?と気になって彼のInstagramを覗いた。

そこには私の他に2人の日本人女性。
私はとても勘が鋭いので、「あ、この人たちにも声をかけていたんだ」とモヤモヤ。
その内の1人には20歳の子がいた。
私はなぜかその子が気になって投稿を見に行った。
そこには私が彼から送られてきた写真と同じものが投稿されていて、文章には「This photo was sent from Darling」と書いてあった。

少し勘付いてたけど、甘い言葉と素敵な笑顔を手放したくなかった

目を疑った。
その後すぐ一瞬で目が覚めた。
これは、もしかして……国際ロマンス詐欺というものでは?と。

こう思ったのには理由があって、私は出会いからの出来事を親友に話したり、相談したりしていた。
その客観的な視点を持っている親友がある日、「それ国際ロマンス詐欺じゃない?」と言ってきた。
まさかと思い、自分でも調べてみた。
手口が全く一緒の例が出てきた。
それは国際ロマンス詐欺だったのだ。

実は少し勘付いてた。
好きだから気付かないフリをしていただけだった。
甘い言葉と素敵な笑顔を手放したくなかった。

本当のあなたはどんな人なのか。
日本に来たら会えるのか。
期待に胸を躍らせていたのに、あの言葉たちは全部ウソだった。
本当にショックだった。

なぜなら私はロマンス詐欺のニュースを観た時に「騙されるなんて」と思っていた人間だったから。
少しでも引っかかった自分の情けなさと裏切られたという悲しさに涙が出た。
全く同じ手口が載っていたと親友に報告し、国際ロマンス詐欺を疑ってくれてありがとうと伝えた。

そしてこの悲しみの感情は怒りに変わった。
お金を騙し取ろうとしただけではなく、私の気持ちまで踏みにじった上に、他の数人の女の子にも同じように声をかけていたから。

「騙されるなんて」と思うことは、いつ誰に起きるか分からない

でもそこで問い詰めるようなことはせず、一旦かかったフリをしたらどうなるんだろう?と思った。
そこにちょうど彼からの連絡。
「荷物を送ったよ!この追跡サイトで確認出来るからチェックしてみて!」と。
続けて「この配送会社のポリシーに、受け取るにはお金が必要なんだ、代わりに払ってくれない?君へのプレゼントと僕の大事な荷物がある」と英語で書かれていた。
ドルで書かれていたから計算してみたら、金額は60万円以上。
国際ロマンス詐欺だ、と確信した。
先に調べていた私はそこからは引っかかることなく、Instagramはもちろん、LINEもすぐにブロック。
私の国際ロマンス詐欺体験は未遂で終了した。

ニュースを観て「騙されるなんて」と思っていたけど、身を持って体験した私はいつ誰の元に何が起きるか分からないな、とレベルアップした気がしている。
悔しかったし、悲しかったし、情けなかったけど、これは今の私だからできる体験だったんだ、と学びにして同じことを繰り返さないように生きて行こうと思えたし、これもひとつの経験として笑い話に変えていこうと思った出来事だった。

その後、たまたま観た国際ロマンス詐欺のニュース。
日本人の男性がイケメン外国人のフリをしてお金を騙し取ろうとしたと、国際指名手配されていた。
私はその画面を観て、鼻で笑った。