この数年、ニュースで「コロナ」や「マスク」といった言葉をよく耳にする。コロナ禍になり、マスクを手放すことができない日々がこんなに続くとは思わなかった。
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私の住む地域には幾つかドラッグストアがある。マスクの需要が高まり、供給が追いつかなくなった一時期、ドラッグストアの開店時間を調べては、休日に開店時間前から店の前に並び、マスクを買い求めた。
行列に並んでいる人同士で「あの店は何時から開いてて、マスクを買ったよ」などの情報交換もしていた。早起きして列に並んでも、「今日のマスクの在庫は以上ですので、お帰り下さい」と店員に告げられて肩を落とす日もあった。マスクを購入する権利を得ても、早い者勝ちなので、理想の数量など買えない場合もあった。
また、行列の中ではソーシャルディスタンスが保たれていなかった。感染症対策グッズを購入する目的で並んでいるのに、密集や密接を避けることができず、心の中ではヒヤヒヤした。
他方、マスク不足の期間を乗り切るため、使い捨てタイプのマスクを手洗いして干し、数回繰り返して使用したことがある。上司からマスクを洗ってみた、と報告を受けたことがきっかけだ。洗う度に生地が薄くなったりシワがついたように感じたが、節約が優先で当時はどうしようもなかった。
繰り返しの使用可能回数を実験した期間もあった。使い捨てタイプのマスクを再利用する度に、マスクの効果が次第になくなっていくことを知り、その後は再度の利用は2回までとした。
器用な人の中には、マスクを手作りし始めた人もいた。私は不器用なので作ってはいないが、知人に手作りマスクを頂き、実際に使用したこともある。自分用だけでなく、他人の分まで大量に作ってプレゼントして下さった心意気には感謝である。頂いた嬉しさと、お洒落な柄のマスクに感動して、家で飾って眺めていた時期もあった。
一方で、手作りマスクを販売するという、新たな小遣い稼ぎの手法が生まれたことに、関心を抱いた。また、雑誌の付録にマスクが入っていることもあり、思わず購入したこともある。
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マスクを毎日着用することが当たり前の世の中になり、「マスクも身体の一部」のような感覚に陥ったり、マスクをファッションアイテムの1つとして捉える人も増えた。
一方、私はズボラな性格のため、顔の半分以上をマスクで覆っていることを理由に、化粧を疎かにしがちだ。会社に行く際、必要最低限のお手入れと化粧しかしない日もある。
だが、1年前に社内の人員配置の関係上、席を移動することになり、受付嬢の1人になった。その結果、以前よりも社外の人や初対面の人の対応をする機会が増えた。
たった数秒の関わりとはいえ、第一印象は大事である。受付嬢は「会社の鏡」と言っても過言ではないので、可能な限り化粧はするべきだと、自身に言い聞かせている。
休日のお出掛けでは、日焼け止めのみで、ほぼノーメイクだ。紫外線対策やマスク焼けにも気を付けたい。
私は友人と遊ぶ際も、手抜きメイクやノーメイクで会う場合がある。だが、友人はばっちり化粧をしている場合が多く、その度に反省する。友人とはカフェや家でお茶をすることが多いので、自然とマスクを外す機会があるのだ。また、飲食が済んだら直ぐにマスクを着用する癖はついているが、相手に失礼にならないタイミングを見計らいながらのマスク着用は意外と難関だ。
コロナ禍前にマスクを着用する際は、自身の体調不良が主だったが、現在は感染症対策のためであり、社会で生きていく上でのエチケットの1つになっている。マスクは今後も身近なアイテムのままだろう。マスクを毎日着用して持ち歩くストレスや、マスクに甘んじてしまう自身の弱さなどを改めて感じることもあるはずだ。
次はコロナやマスクに関して、どんなニュースを見聞するのか。ニュースで情報を得て現実を知り、その時々で社会問題に向き合い、順応したい。