在宅勤務が苦手だ。
私はかなりのかまってちゃん気質である。
大変そうな顔をして働き、周りから「忙しそうだね」と言われることに至上の喜びを感じてしまうという、どこまでも幼稚きわまりない大人なのだ。
在宅勤務だと、その肝心の人目がない。

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在宅勤務の私の一日は、このような感じだ。
まず始業の15分前くらいまで布団の中にいる。ウウン、ウウンと唸りながら鳴り続けるアラームと格闘し、気づいた頃には始業間近になっている。毛布の甘い誘惑をどうにか断ち切ってベッドから脱出し、とりあえずパソコンを立ち上げる。

メールを開き、込み入った話がある時には、脈絡もない呪詛のことばをつぶやきながら対応する。
「あぁいやだ、いやだ」としきりに呟くなどしており、出来の悪い子どもさながらである。
次第に眠気が襲ってくるので、カフェインの力を借りる。ちょっと高めの個包装になっているパックのコーヒーを淹れてみる。おもむろに飲むも、大して頭のモヤへの効果はない(そのうえ苦くてあまりおいしくない)。

奇怪な体操をしたりしながら眠気を振り飛ばし、どうにか午前中の仕事を終えて昼になる。昼休みには、昼食をとってから風呂掃除などちょっとした家事をしたり、近くのカフェに行って気分を入れ換える。
いつも休日のときにはデカフェのラテを頼むのが日課なので、店員から「デカフェじゃなくて大丈夫ですか?」と聞かれる。

店員たちの中で「デカフェババア」というあだ名がつけられていることを懸念しながら、「はい! 眠気を覚ましたいので」と答える。
「平日カフェインババア」の通り名がついたらもっと嫌な気もするが……。
とりあえずはキンキンに冷えたカフェラテを持ち帰って飲むことで眠気は覚めるので、そこから一気に残務を片付ける。振り返ると午前中の効率の悪さがすごい。

冷えすぎてお腹が痛くなるので、お手洗いに行ったりする。こうやって冷たい飲み物でお腹を壊すこともままあるが、昼間の眠気がすさまじいので仕方ない。
私がもしユーチューバーになったら、「私のリモートワークルーティン」みたいな動画をつくることになるのだろうか。眠気と戦うしお腹も壊すし、品も華もなさすぎる。

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このように、人目がない空間でやる気を起こすのは、やはり至難の業だ。なにかのブログで読んだが、自分の家で勉強ができない人はお金を無駄にしているらしい。一理ある気がする。

私はやる気が出ないと環境が悪いのだということにして、どうにか環境をととのえたくなってしまう。場所を変えたり、空気を入れ替えたり、少し体操をしてみたり。
最近気づいたのは、在宅勤務でもきちんとした服を着て化粧をするとそれなりにしっかりやろうという気が起こることだ。

突然オンラインミーティングの予定が入り、慌てて化粧をするような野暮な真似も必要なくなり、一石二鳥だ。
ジャージやパジャマで働こうとしたって、それらは働くために作られている服ではないので、どだい無理な話である。

実際に人目がないのであれば、人目があると自分に錯覚させることも大事なのかもしれない。いつも仕事に着ていく服を着ると、なんとなく誰かに見られているような気がして背筋が伸びる。
身綺麗にして働くこと、それが在宅勤務の鉄則なのかも知れない。