わたしは、両親から愛情たっぷり受けて育てられた、親ガチャ成功者だと思う。何不自由なく育ててもらい、専門学校まで学費を出してもらって、就職してからも2年目まで実家で暮らしていた。
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今思い返すと、小学生の頃から恋愛体質と言われる部類の女だったと思う。
どこか男に依存的で、男の人でしか埋められない何かがあると、今でも思っている。
そんなふうに考えてしまうのは、母のせいもあると思っている。
母はわたしが小学生の時から不倫をしていて、その男との出来事をわたしに話していた。
現在も取っ替え引っ替え、父の他に男がいる。
母が不倫をする理由は、父が性行為をしてくれないからだと何度も聞かされた。
そんな風に聞いていたから、性行為は究極の愛情表現なんだと強く思っていたのかもしれない。
性行為をすることでしか生まれない愛情があるなら、はやく知りたいと思っていた。その愛情を知れるなら、別に好きな人じゃなくてもいいやと本気で思っていた。
高校生の時にアプリで知り合った何人かと体を重ねた。初体験は好きでもない歳上の男の人だった。性行為が目的の男は、行為が終わるとすごく冷たい対応で、心から後悔した。
そのアプリで知り合った中の1人と付き合うことになった。その彼と4年間過ごした後、急に別れを切り出された。男に依存してしまうわたしは、その穴を埋めたいと必死で男を求めてしまうようになった。
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別れてからマッチングアプリや合コンで知り合った何十人もの男と体を重ねたり、セフレという関係の男を作った。
セフレという関係は、余計に心を寂しくさせた。性行為までは満たされていても、終わった途端に悲しくなるから、また次を探してしまう。
どんどん歪んでいった。
歪んだ気持ちのまま彼氏を作っても全然続かなかった。体の関係を持ってから彼氏になると、どうせ身体が目的なんだと悲しくなる。その思いを消すためにまたセフレと会って心を満たす。もう書いてて意味がわからないが、当時は寂しいという気持ちにならないように生活することに必死だった。
その時付き合っていた彼氏に、セフレと浮気したことがバレて、怒った彼に殴られ、別れた。
その出来事が起きて、3年間続けてきた歪んだ生活からようやく脱出できた。
今後は、絶対に体から入る関係はやめようと思い、セフレの連絡先は全て消し、登録料のかかるタイプのマッチングアプリをはじめた。
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マッチングアプリで出会う人は、ほとんど体の関係を求めてきた。でも、アプリで出会うことを辞められなかったのは、職場や近くに男性がおらず、出会いがなかったことに加えて、知らない人と出会うことにスリルと楽しさを感じていたからだと思う。そのアプリでは、今さらながら自分の体を大切にしようと思い、体から入る関係は絶対やめることにしようと心に決めた。
そこでやっと、わたしを心から受け入れてくれる人に出会えた。現在の旦那だ。
母は不倫していることを娘に話してくるような変な人であること。セフレがいたこと。彼氏がいるのにセフレと浮気して殴られたこと。そんな歪んだわたしを受け入れてくれた。
彼との付き合いで、寂しくなったことはほぼない。彼は心が寛大すぎることと、付き合って半年で同棲を始めたことも大きいと思う。
寂しいと思うことがなくなったから、他の男で埋めたいという気持ちにならなくなった。
彼もわたしと出会うまでは遊んでいたらしい。好きではない人と性行為をした後の虚しさを知っていた。だから分かり合えて、お互いに寂しさを感じないように生活できているのだと思う。
わたしを心から愛してくれる彼と出会えて、結婚して1年。子どもにも恵まれた。
あの寂しい気持ちを知っているから、今の幸せがどんなに尊いかを感じられている気がする。あの頃のわたし、ありがとう。