青春を楽しむ彼らが、キラキラ輝いていて見えて、時に羨ましく感じる。
これは私が憧れ尊敬する、推しに抱く感情だ。
今の私に「青春」は縁遠いものだと思っていたから、青春をしている彼らを見ているだけで充分だった。

16年間共にした「学生」の肩書きが外れ、これまでに得たものを抱えて新たな世界へ飛び込んだ私は、一瞬にして砕けて、見事に力尽きた。人生で初めて大きな挫折を経験し、今は大きめの転換期(だと思っている)の渦の中にいる。
大袈裟かもしれないが、この大きな転換期の渦の中でぐらつきながらも、消えずに立ち続けていられるのは、母親と心から信頼できる友人と同じくらい、彼らの存在は大きいものだった。

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今年の春、そんな彼らのライブに初めて行ってきた。
画面越しに見ていた彼らが目の前にいる、夢のような時間。ここ数年の、辛かったことが全て報われるようだった。声を出せない制限のある中、ペンライトを振りながら拍手で応え、派手な演出とパフォーマンスに圧倒されていた。

ライブの終盤に近づいた頃、メンバーの一人が作詞作曲を手がけた、月をモチーフにした曲を歌い出した。
「何だってできる、何だってなれると思っていた少年の頃の気持ちを忘れないでいたい」「もし、あなたが暗闇に襲われた時は、光を照らそう」というような内容の歌詞で、聴く人の背中をそっと押してくれる曲でもあり、ラブソングでもあるような曲だ。
バックバンドを背負いながら、手を挙げ、飛び跳ね、全力で音楽を楽しみながら歌うその姿は、私が思う青春を楽しむ彼らそのものだった。
すると、彼らの歌声と青春を楽しむ姿は、ものすごい勢いで私の視覚聴覚を突き抜け、全身に突き刺さり、彼らと同じように飛び跳ねていた。まさに彼らと青春をしている状態だった。
「私もまだ何でもできるかも、やりたいことをしていたい」
そう思った時には涙が止まらなくなっていた。

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彼らの力は、私の中にある恐怖や固定観念によってできあがった無駄に分厚い盾を、いとも簡単に壊してきた。
勿論、その盾で危険な目に遭わずに済んだこともたくさんある。しかし、まだ生きて23年ではあるが、その間に経験したことから、自己防衛力を高めすぎた結果、いつのまにか、やりたいことよりも、その先にある恐怖や失敗を避け、殻の中に潜みがちになっていた。

悪や闇から救ってくれる彼らがいるから大丈夫。
何でもやりたいことをしていたい。青春に年齢制限はない。
そう思わせてくれたお陰だ。

涙で視界がぼやけながらも、無我夢中で彼らと共に飛びながら身体全身で楽しみ、彼らと青春をした時間。それは私にとって忘れたくないものになった。

春も過ぎて、今年も暑い夏がやってきた。
嬉しいことに、この夏も彼らと青春ができそうだ。
またいつか彼らと青春ができるその時まで、暗闇に落ちた時に這い上がるための、エネルギーを貰いにいく。

そしてまた一つ、忘れたくないものが増えそうだ。