忘れたくないことに、最近変わったことがある。
以前は忘れたかった。
でも時間が経つにつれて、それは私にとって美しい思い出になった。

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私は大学生活が、忘れなくないことだ。それは今までに体験したことがない日々だった。
私の大学生活は、一言で言ってとても暗い。第一志望に入れなかったことをずっとひきずっていて、大学受験がうまくいかなかったのならせめて楽しい大学生活を送ろうと決意していたが、あまりうまくはいかなかった。

何かを探そうとしていたけれど、何も見つからなかった。ファッションサークルや絵画サークル、法律のサークルに入ってみたけれど、そこに居場所はなく、先が見えない進路のことで悩んでばかりいた。
せっかく大学に入ったのだから、中国に留学した兄のように短期でもいいから留学しようとも思ったが、私は説明会に行ってそこから先へ進めなかった。

私の学部はクラスがなく、縛りがないけれどいつも駅みたいにたくさんの、顔だけ知っている人たちと過ごすことになり、とにかく孤独だった。自分で授業を自由に決められるが全て責任は自分にあり、私はそれがとても辛かった。
単位のことがいつも不安だった。大学生のイメージといえばすぐに恋人ができて、毎日のように飲み会をしている様子を思い浮かべていたが、私は必死に勉強して、それでも単位を落としたりして、不安がいっぱいだった。

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人との別れや友達との諍いもたくさんあった。仲良くなったと思ったら揉め事があって音信不通になったり、友達と距離をおきたいと言われたりして、この世に絶対なものはなく全ては頼りないものなのだと絶望したりした。
それまでの生活では全てのことは決まりきっていて、簡単には変わらないものばかりで、私はそれまでが恵まれていたのだと思い知った。
そんな生活を送っていた私は、心がいつも憂鬱で、腰痛や神経通に悩まされた。これのせいで勉強がよりはかどらなくなった。

一人でアパートにいる時、ひしひしと世界が迫ってくる感覚がし、朝、矢が背中に刺さった夢を見て痛みで目が覚めた。これはまずいと思い、私は整体に通ったり整形外科にいったりした。でもいっこうに改善しなかった。最後の手段として心療内科に行き、ヨガがメンタルに効くという本と出合ってヨガにも通うようになっていくらかマシになるようになった。
それでも辛さは完全には消えなかった。
心療内科で処方される薬とヨガでだましだまし生活した。図書館で過ごすことも少し心の安定に繋がった。そんな薄暗い日々を過ごして、私は卒業できるか不安だったが無事に大学を卒業できた。

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一方で、全く頻繁ではないが、友達と2、3か月に一度くらい遊びに出かけた楽しい思い出もある。楽しかったけれど、遊びながらも私は孤独で、友達と別れ際に泣いてしまったこともある。
一人で小旅行や美術館、服屋にたまに行ったりした。苦手だと思っていた“高校生”とも話が弾んで、高校生にも話が合う人はいるんだと嬉しかったこともある。辛い日々の中に一筋たまに光が差し込んできたのだ。

私の大学生活は大海原の上で小舟に一人で乗っているようなものだった。私はひどくさびしかった。
海はたまに嵐が起こった。でもたまに月明りや星の煌めきを感じることもあった。
そんな辛い日々を、暗いけれど美しい曲を聞いていた時、私の日々もこんな風に美しかったんじゃないかと思い、忘れたくないことになった。