私の背中を押す言葉。それは、「できることをしよう」という言葉だ。
これは私が適応障害で休学していたときに、友人にかけてもらった言葉。
今はもう回復して復学しているが、こんなに早く回復できたのは、この言葉のおかげでもある。
できることをしよう。できないことはいつかできればいい。

私は休学している間、とにかくできることをした。
勉強が手につかなくなったから、運動やピアノをした。
走れなくなったから、近所をたくさん散歩した。
1人では乗り越えられないから、友達や家族や相談窓口にたくさん頼った。
外に出られない日は、ビデオ通話で人と話した。
布団から動けない日は、寝たままパソコンでエッセイを書いた。

何もできなくなったと思っていたけれど、当時の私にもできることはたくさんあった。
それをひとつずつ、着実に行った。休むことは大切だが、ずっとじっとしていても何も変わらない。何より、絶望して引きこもっても、自分の人生をいくら嘆いても回復しないことは、医療系の学生としてよく分かっていることだった。
自分が無理しがちなのも分かっていたので、ブレーキがかけられるように、学校のカウンセラーにも長期のサポートを頼んだ。

その結果ほぼ半年で回復して、今は人並みに戻れている。学業についていけているし、動けなくなることはほとんどない。そして今も、できることをするように意識している。

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体調を崩してしまった日でも、休むことはできる。
何かミスをしてしまっても、謝ることはできる。
周りと打ち解けられなくても、挨拶することはできる。
不器用でも、笑顔で接することはできる。

人間は誰だって、能力やその時の状況によって、どうしてもできないことがある。どんなに優秀な医者でも、治せない病気があるみたいに。どんな美人でも、落とせない男性がいるみたいに。
だから無理に背伸びしすぎないで、頑張りすぎないで、自分にできることをしていこうと思う。今もつまずいたり、迷ったりするが、そのたびに「できることをしよう」と意識している。人に相談するとか、気分転換をするとか、食べて寝るとか。そうしたら、なんとなく人生が楽になったような感じがした。

もちろん、こうなりたいという理想や、できないことを克服したいという気持ちも大切だ。それが背中を押してくれる人もいるだろうし、やる気がある人は、どんどんいろんなことに挑戦していいと思う。現状に甘んじることが、逆にストレスになる人もいると思う。ちょっとした勇気や挑戦が人生を変えることもある。でも、走りすぎて一度転んでしまった私にとって、今背中を押す言葉は、「できることをしよう」だ。

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何かができなくたっていいじゃない。きっといつかできるようになるから。
ちょっとしたことでも、当たり前だと思うようなことでも、人それぞれにできることはたくさんある。それを誇りに思って、存分に生かしていこう。
そういう心持ちで、今はのんびりとできることを続けていきたいと思う。