つい最近、
「30歳になるから、もうかがみよかがみは卒業」
と書いた気がするのにひと月もしないうちに筆を取っている。
久しぶり、かがみよかがみ。
案外直ぐに再会したね。

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さて、「自分の身体」。
生まれてこの方30年の付き合いになるこの身体を「好き」か、「嫌い」か、でいうとどちらかというと「嫌い」な分類に入ると思う。
30年間365日変わらない肥満体型、古き良き日本人体型のズドンとした短足、平安の世なら絶世の美女だっただろう瓜実顔、主張の激しい前歯、etc……。
挙げ出したらキリが無い程、私の身体はコンプレックスだらけだ。
それこそ10代の頃から年齢+10歳に見られることは当たり前で、年相応に見られたことも、若い女子だとチヤホヤされたこともない。
常に人生日陰!!添え物!!みたいな人生だった。

まだ思春期だった頃の私はそういう境遇に納得のいかないものを感じていて、天が与えたもうた様々な劣性の遺伝に悪態を吐きまくっていた。
見かねた周囲からは「老け顔は大人になってからが本番だから」「そのうち変わらないねーって言われるようになるわよ」と幾度となく励まされたことを憶えている。
しかし同時に、同じ業を背負って生きる母から、「そうやっていうけどね、ケアしてなければ順当に歳を取るわよ」と奈落の底に突き落とされたことも、同時によく憶えている。
しかして母は正しく、オシャレとは媚びること!と頑なに美容から背を向けてきた私は、30歳になったが、+10歳とは言わないまでも+8歳くらいは年嵩に見える。
仕事から疲れて帰宅し、マスクを外して化粧を落とした顔を見たとき、余りの年増感に目を見張る。
そんな毎日だ。

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「〇〇ちゃんみたいに可愛くなれたら人生楽しいのかな」
と、職場で男性受けの良い同僚を見ながら羨ましく思っている自分がいる。
明らかに対応の違う男性社員達に「男って奴は……」とヘイトが溜まり、日に日にお局感が増して行くのも僻みのせいだろうか。
いやそもそも、オシャレって誰かの為にする物なのだろうか。
そうやって屁理屈をこねくり回す私に対して、「オシャレも美容も自分が楽しいからするんですよ!」と男ウケのいい〇〇ちゃんはあっけらかんと笑う。
健全な精神は健全な肉体に宿る。逆もまた然り。
オシャレも美容もそんな風に笑える程ハードルの低いものなのか。
これが十うん年に渡って色々と言い訳を積み上げてきた私と彼女の差か。
私もそんなポジティブ思考欲しかったなあ、とはなから努力しようとも楽しもうともする気がなく、無いものねだりをしているのが私という生き物だ。

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20代、私のコンプレックスだったものは多分、私の気持ち次第でどうとでもなったものがその大半を占めていた。
ダイエットもオシャレもメイクも多分、私が本気でやりたい!!と手を出したら良い方向に向かったんだろう。全ては、自分が「やらなかった」だけだ。
30代に突入し、体力気力の衰えを感じることが日に日に増えた。
最近1番ショックを受けたのは視力検査の裸眼視力が1.5を切ったこと。
視力だけは生まれてこのかた優良児で1番下が見えないことなんて今まで一度も無かったのに、今年初めの健康診断で最終段がぼやけて見えなかった衝撃は筆舌に尽くし難いものがあった。
これが「老い」というやつで、こいつらは予防や現状維持は出来ても、元通りにはならないのだろう。
あれ?また私の身体の「嫌い」な部分が増えた?

30代、きっとこれからも自分の身体に儘ならない変化が増えていく事だろう。
自分の努力でどうとでもなること、逆に上手く折り合いをつけていかないといけないこと様々にある筈の変化。
それらとどう付き合って行くのかは、きっと、自分次第だ。
「嫌い」とはっきり言い切ってしまったけれど、それじゃあちょっぴり寂しいから、やっぱり「あんまり好きじゃない」くらいにして付き合っていきたい私の身体の話。