私は両極端な性格だ。
ポジティブなときは仕事もプライベートもイケイケどんどん!と活動をして、嫌なことがあっても次の日には忘れている。
しかし、私のポジティブは、睡眠不足、気圧の変化、上司からのいきなりのお叱りなどで一気に崩れてしまう。ボロボロと崩れたあとに残ったのは、ポジティブに守られていた私のネガティブさだ。
ネガティブモードになったら、もう最後。
少しの出来事があっただけでも、「私はダメ人間だ」「もう消えてしまいたい」とため息をついてしまう。さらに、「人前でため息をついてしまった。周りを不快な気持ちにさせたかもしれない。やはり自分などいない方がいい」と落ち込む始末だ。
上司から告げられた、試用期間の延長と衝撃的な言葉
最近で一番ネガティブモードに入った出来事は、上司から「試用期間の延長」を告げられ、そのうえ、人格否定までされたことだ。
部署内の新人で試用延長になったのは私1人だけで、目の前が真っ暗になった。
そのあと、延長の理由を告げられたのだが、その中には「可愛げがない」「素直すぎる」など耳を疑うようなものもあった。
数か月たった今では、業務に直接関係のない悪口だったと分かるのだが、当時の私はショックのあまりその場で大泣きしてしまい、会社のトイレで嘔吐をすることもあった。
毎日出勤するのが辛かった。毎日出勤してたのにも関わらず、試用期間の延長をされた新人は私の周りでは聞いたことがなく、恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。
さらに、またひどい言葉を言われたらどうしよう、部署の人から、「試用期間を延長された使えない新人」と思われているのではないか。辛すぎる、少し休みたい、でもそんな状態の私が休んでしまったら、クビにされるのではないか……、などと考えれば考えるほど辛くなるばかり。
退職ももちろん考えた。しかし、ずっとやりたかった仕事をここで諦めるのは悔しかった。
エレベーターでこぼれた独り言が、私を前に進ませてくれた
そんな私を救ってくれたのは、憧れの先輩でも推しでも偉人の名言、でもなく、ボロボロの自分から絞り出された「ある言葉」だった
私が会社で唯一リラックスできるのは、朝、1人でエレベーターに乗っているときだった。1人きりのエレベーターで、「あー、もう無理だ」「疲れた」「やだやだやだ」など自分のその時頭に浮かんだ感情をぶつけていた。
私の嘆きはエレベーター内で響き、少しだけ気持ちが落ち着いた。自分から嫌な感情が出ていく感覚がして、デトックスしている気分だった。
その日の私も、いつものように独り言を言っていた。また1日が始まっちゃう、行きたくないなぁ、泣きそう、クビになったらどうしよう……3階、6階、8階、と自分の部署のフロアが近づいてくるのが分かった。
あー、でもやるしかない。
無意識に発された言葉と同時に、エレベーターは部署があるフロアに到着した。その3秒後、私は笑顔で「おはようございます」と言っていた。
それ以来、「やるしかない」は、私の背中を押してくれる言葉になった。
とりあえず身体を動かす。心はきっと後からついてきてくれるはず
試用期間を延長されたことも、業務と関係ない悪口を面と向かって言われたことも、絶対に忘れられないことだと思う。
でも、今は進むしかない。とりあえず未来のことを考えすぎるのはやめて、もがいてみよう。何故なら今、ここの会社にいる私ができることは、目の前にある仕事をこなすことだけだから。
「やるしかない」は、私をある意味「前向き」にしてくれた。
それ以来、業務に少しずつ集中できるようになった。先輩数人が会議のため席を立つと、「私のことを話しに行ったのかな」と思いながらも、パソコンをカタカタ動かす。
「今日は怒られなくてよかった、でも明日は怒られるかもしれない」とびくびくしながらも、電話対応をした。心が元気でなくても、身体さえ動かせば、時間は過ぎていく。
そんなある日、試用期間の延長を告げてきた上司に「変わったね」と言われた。ひどいことを言われたのは許せないが、これからも続けてみようと思えた。
「やるしかない」という言葉は一般的には、自分を追い詰める言葉だと思う。しかし私にとっては、自分ではどうしようもない悩みのツボから抜け出させてくれて、なんとか前を進むための背中を押す言葉になった。
最初は無理やりでも、いつしか自ら背筋を伸ばして歩けるようになる。