私は常に世界平和を望んでいる。
もっと、人が人に優しくできるような、それが当たり前であるような、そんな世の中を望む。
「わたしのたくらみ」は、世界を平和にすること。なんてことは言えない。
私なんかが世界を平和にできたなら、もうとっくにそれは叶っているはずで、誰も理不尽なことに頭を悩ますことはないだろう。
それでも、世の中がもっとあたたかくなったらいいのにな、とは思う。気温の暑さではなく、人の心の温かさで。
そのために、何かできることはあるだろうか。
何かを企てることはできるだろうか。
考えた結果、私はこの夏、やろうと決めたことがある。
まさしく、「わたしのたくらみ」だ。

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私はこの夏、積極的に物語を創作をすることに決めた。
物語をひとつ完成させること。これは、社会人になった私の、夏休みの宿題。
もともと、小説を読むことが好きで、本は友達だと本気で思っていた。いや、今もそう思う。
知っている言葉たちと知らない言葉たちが混ざり合って、頭の中で世界が生み出される。
小説を読んでいて、どうやったらこのような物語を作り出すことができるのだろう、と年を重ねるごとにそう思うことが増えた。
そして、私も本気で言葉たちを紡ぎたいと思うようになった。

大した趣味もなく、地味で平凡な日々を生きる私が、胸を張ってずっと好きだと言えるものが本である。最近はこうして、文章を書くことも趣味になりつつある。
語彙力が豊富というわけでもなく、想像力が人より豊かというわけでもないけれど、私の言葉に誰かが共感してくれたり、それは違うと意見をもらったり、些細な気持ちの変化を抱いてくれたら嬉しいと思う。

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物語の世界は無限だ。どんな背景でも人物でも描写でも、何でもあり。
読者がどんな反応をするかは、読むその人次第。読むその人、と括るだけでなく、その人の心情やそのときの環境などによっても、変わってくる。
実際、私も中学生の頃に読んだ小説を最近読んだときにそう思った。当時は、この小説よく分からなかったな〜なんだかこわいお話だな〜と思っていた、はず。それに対し、最近読んだときに抱いた感情は、なにこれ、こんなにも深い物語だったんだ、というもの。
同じ作品でもこうも違うのかと身に染みて思った。だから、私もそんな風に言葉で誰かの感情を揺さぶりたい。良くも悪くも。

なんとなく、こんな物語あったら面白そうだな〜と頭に浮かんだものはメモをしていたのだが、それをカタチにしたことは今までない。
私に小説を書くなんて大それたことはできない、できないことが当たり前だと思っていたから。挑戦をしようとも思わなかった。誰にも言ったこともない。
もしかしたら、酔ったときにちらっと言ったことはあるかもしれないけれど。意識して言ったことはない。恥ずかしくて言えない。
WEBで小説を書けるようなアプリやサイトもたくさんあり、とりあえずそこで、書いてみようと思う。

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世の中は理不尽なことであふれている。意味もなく人を傷つけて、傷つけられて、どこにもぶつけようのない怒りや悲しみを抱えて、そんな感情に蓋をして、日々必死に生きている。居場所がない人だっている。
そんなときに物語の力で、少しでも救えたらいいなと私は本気で思う。
物語に触れられる時間も余裕もない人も多いかもしれない。それでも言葉に触れて、今の自分から離れた物語の世界へ足を踏み入れて、色んな感情に出会えたら、生きている意味を実感できるのではないだろうか。
世界を平和にすることはできないかもしれないけれど、誰かの心をほんの少しだけでも揺さぶることのできるような人になりたい。
それが「わたしのたくらみ」だ。