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スマホの検索履歴には、アロマテラピー検定に関するワードがびっしりと積み重なっていく。
私は、数ヶ月後に控えるアロマテラピー検定を独学で受験することを今、決めた。

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先日、あと7日で交際して1年を迎える予定だった恋人と別れた。
自分たちのために別れることを決めたけど。1年にも満たない短い交際期間だったけど。

いつも私の家族や仕事での悩みを聞いて励ましてくれて、「ありがとう」の言葉を欠かさない彼のことが本当に好きで、大切で。彼の本心は知らないけど、私は真剣に彼と付き合っていた。

だから別れた直後は毎日彼のことを思い出しては泣いて、過去の自分の行動を悔やんでは落ち込み、そしてまた泣いての毎日だった。
昔、一緒に出掛けた場所を1人で通らないといけないことが辛くて。作った料理を一緒に食べたり、映画を観たりして過ごした自分のワンルームの部屋に1人でいるのが苦しくて。傷つけられて苦しい思いも今までたくさんしたはずなのに、楽しい思い出ばかり鮮明に蘇ってきて。
涙腺が枯れるくらいたくさん泣いたのに、涙はまだまだ止まらない。こんなに毎日涙を流したのは初めてだった。

憔悴している私を気にかけて食事に連れ出してくれたり、様子を見に来てくれたり、電話をかけてくれたり、私の大切な家族や友人たちはそっと優しく寄り添ってくれた。そして、そんな優しく寄り添ってくれる彼女が「気分がきっと落ち着いて癒されると思うから」と、オイルディフューザーをプレゼントしてくれた。

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自宅に帰り、一緒に入っていたエッセンシャルオイルをセットして早速電源を付けてみる。
ふわり、とオレンジスイートやシトラスの甘いようでさわやかな香りが部屋中をほのかに包みこんでくれた。なんだかすごく、ほっとする。
自分で選んだ好みの香りだから、自然と心も落ち着いて、穏やかな気持ちになれた。
それと同時に、2年前はアロマ教室に通うくらいアロマテラピーに興味があったことを思い出した。私、今まで我慢してたけど、本当はやってみたいことがまだまだたくさんあったんだった。

部屋にいる間はずっとディフューザーを使っていたから、10mlのエッセンシャルオイルを1週間であっという間に使い切ってしまった。なんだかこの香りのおかげでだいぶ元気になれた気がする。おかげさまで涙を流す日も少しずつなくなった。

そして彼と別れて7日後には内見に行くことになり、その3日後に新居の契約をしてあっという間に新居で新生活をスタートすることになった。
内見の5日後には新居に住むという、猛スピードで引っ越しが進んだけれど、両親が差し入れを持って手伝ってくれたり、友人が私のことを気にかけて段ボールを持ってきてくれたり、一緒に新しい家具を見に連れ出してくれたりして、何一つ後悔していないし本当に周囲の優しさが沁みた。本当に、私は恵まれている。

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新居での生活が始まって数日後。使い切ってしまったエッセンシャルオイルを購入しようと店舗に立ち寄った時、アロマテラピー検定の広告が目に留まった。エッセンシャルオイルの香りに包まれたおかげで、アロマテラピーを今度こそもっとちゃんと知って勉強したいと思った。
自宅に帰ってもその検定のことが気になって忘れられず、検索が止まらない。そして冒頭に戻る。

次の試験は11月らしい。今から約4か月、好きなことの勉強に打ち込んだり、新居での新生活を楽しんだりしていたら、きっと悲しい気持ちもいつか手放すことができるだろう。
今の私は彼と出会えて本当によかったなと思えているし、彼の幸せを祈り、真っ直ぐ前を向けている気がする。それも、周囲の温かい優しさとあの癒される香りのおかげだと思う。

私はそのままアロマテラピー検定のテキストを購入した。
検定試験を受ける11月、その頃私はどんな生活をしているんだろう。

新居は1LDKで前より広くなったから、今度はラグを引いたりお花を飾ったりしよう。
キッチンも広くなったから、料理のレパートリーも広げていけたらいいな。
近くにパン屋さんがあるから、たまには寄り道して買いに行っちゃおうかな。
もっともっと上を目指したいから、たくさんの知識をつけて仕事も頑張りたい。
アロマテラピー検定に合格出来たら、今まで助けてくれた家族や友人たちを今度は私が癒してあげたい。

今の私にはたくらんでることがたくさんある、考えただけで今はワクワクが止まらない。
そのたくらみを1つずつやり遂げるのが今の私の目標だ。
これから少しずつマイペースに頑張っていこうね、と私は甘くて爽やかなシトラスの香りに包まれながら、自分自身にエールを送った。