小学校五年生、私は中学受験を機に具合が悪くなった。社会に嫌気がさした。どうして、勉強したくなくなったんだろうと、自分を責めた。中学受験を諦め、学校へ行くのをやめた。今まで淡々と行っていた学校とは、もうご無沙汰となった。

そこから劣等感に悩むようになった。あの子たちはいい学校へ行っている、どうして私はまだここにいるの……。
焦りで泣き出したが、それを親は慰めて、まだ人生はこれからだぞ、今日の夜ご飯は何を食べたいと私に聞いた。周りはいい学校に行っているのに、親からは学校へ行けばいい話じゃんと……。
その頃の私には何を言っても無駄だった。自分の中にある反抗心を止めることが出来なかった。自分の中の糸がぷつりと切れたような感じがした。

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学校に嫌気がさし、全てが嫌になって、学校に行かないまま中学に行くことになった。中学では1年間行ったきり、また、学校へはご無沙汰となった。
悩んだ時もあったが、親には、自分の選んだ道だから、後悔するなよと言われた。やや内向的な性格だからか、あまり、馴染めなかった。いつしか、フリースクールのような自由な校風に憧れるようになった。家では、本を読み、散歩したり、自分の好きなことをして過ごした。高校へ行こうと決めた。

進路には通信制高校を選んだ。誰に何を言われても、行こうと決めていた。私の人生だから、誰にも言われる余地はない。通信制高校は自由な校風で、その校風は私を明るくした。
お洒落が好きになった。昔から校則を破るような子ではなかった。わたしが求めていたのは精神的自由だった。

親はいつもわたしのやりたいこと、行きたい所へ連れて行った。いつも私を応援していると言った。やりたくないことをやらせないで、わがままだと言われることもある。でもそれでもいい、一度きりの人生だからと言って、私は譲ることはなかった。
社会の仕組みについて全然知ることはなかった。世間知らずの道を進んでいくのかと不安になり、高校進学を決めた。

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3年間自由な校風で過ごした後、うれしくも、第一希望の大学へ受かり、入学することになった。小学校、中学校と違い大学は自由だと思っていたので、期待をしていた。のびのびと過ごしていけると思った。

大学生活は案外うまくいき、勉強したり、友達と遊んだり、楽しく過ごすことができた。気づいた時には、昔太っていて重苦しかった体は軽くなっていた。それと同時に昔の内向的な性格は別人かと思うように明るくなった。
ふと中学の時にある1人の友達に洋楽を勧められたのを思い出した。そこから、音楽が好きになり、歌を今に至るまで歌い、ダンスも好きになっていた。

痩せたね、綺麗になったねと言われることが増えた。親にも、見違えるほど、綺麗になったと言われ、自分でもハッとする。単位の心配もなくなり、大学を卒業出来ることが確定した。
喜びを感じた、自分の歩んで来た道は正しかった。大学を卒業する頃には、たくさんの人に感謝しようと思う。今まで数え切れない数の人に支えられていたと感じることになる。
先生方、家族、友達にありがとうときっと伝えると、決めたのであった。