私は今、就職に向けて活動していて、求人検索をしたり、気になる会社に応募したりと日々動いている。
自分一人で就職までするよりも誰かのサポートがある方がいいと思い、またオープン就労を希望しているため、就労移行支援を利用し始めた。そうして一年と少しが過ぎた。

体調と向き合いつつ通所日数を増やし、仕事を想定した活動もしている。作業が早いとか、頼んで良かったとか、自分の行動についてそういう嬉しい言葉を貰うことがあり、それのお陰か消極的だった性格も前向きになってきた。自分には良いところなんてひとつもないと思っていたけれど、当たり前だと思っていたことが「自分の強み」になりうるのだと知った。

会社に応募するには、自身がどんな風に貢献できるのかを文章や口で話さなければならない。自分で考えつつ、添削などもしてもらいながら日々活動している。できれば今年中に就職先が見つかってほしい。

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私はそこへ電車で向かっているのだが、帰りは最寄り駅から乗らない。
理由はちゃんとある。アプリで電車が着く時間を確認するのだが、それピッタリに到着する事が少ないから。じっと駅で待つくらいなら、少し歩いて先の駅で待てばいいんじゃないかと思った。それからは3つくらい先のところまで歩いている。

暑い季節になってからは日傘とネッククーラー(首につける冷たいもの)が必須。それでもムワッと空気が汗を誘ってくる。ハンカチも汗を拭く用と洗った手を拭く用を最近持ち始めた。汗っかきには辛い時期がまだまだ続くんだろうな、と考えるだけで憂鬱な気分になってくる。

大きな街の中なので、それはもうたくさんの建物がある。食べ物屋さんや銀行、服屋やドラッグストア。入ったことのない建物だらけで、きっとこれからも入ることはないんだろうなと思いながら通り過ぎる。私は田舎で生まれ育ったので、高い建物に囲まれて歩いた経験が十数年の間なかった。

帰りに歩き始めて半年以上は経つのに、未だにキョロキョロしてしまう。食べ物屋さんがあればガラスドアから中を伺ってみたり。工事している場所も変わっていないように見えて変わっている。新しくできた店には人が並んで待っている。

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少しの間、同じ就労移行支援に通う人と話しながら歩いていたのだが、最近は一人で帰っている。
元々一人が好きだということ、ずっと一緒に帰っていれば話すこともなくなり余計気をつかってしまうこと。色々理由があるけれど、街で聞こえる音を聞きながら歩いている時間が自分には必要だったというのがいちばん大きな理由だった。

音楽は同じものを何度も繰り返し聞いていれば、いつか自分に馴染んでやがて聞かなくなったりする。けど、街から聞こえてくる音は毎日違っていて飽きない。行き交う人たちも一人として同じ人はいないし、天気が変われば足元を濡らしながら早足になる。

今は去年の今頃の事を思い出しながら、こんなにも暑かっただろうかと考える。毎年猛暑だなんてテレビでは言っているけれど、去年より更に暑くなっている気がする。
帽子や日傘を差さずに歩いている人を見ると心配してしまう。最近は男性も積極的に日傘を利用しよう、というはたらきがあるらしい。雨の日に傘は使うのだから、日が出ている暑い時にもぜひ傘を差してほしい。直射日光が体に当たらないだけで体感温度も変わる。

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最近嫌なニュースばかりが耳に入ってくる中で、ただ歩くだけの時間は気分転換にもなって大切な時間だ。仕事を始めた時にそういう時間があるかはわからないけれど、これからも街中を歩きながら、ただ街の移ろいを目に移していけたらなと思う。
電車に乗っていれば一瞬で通り過ぎてしまう場所だって、ゆっくり歩いていれば新たな出会いにもなるだろう。