29歳の時に私は独立を決意した。
新卒で入社した会社は、バリバリの営業会社だった。
女性は華やかに見えるよう外見を整えることが重要で、女の先輩には「ネイルしないの?したほうが可愛く見えるからしなよ」と言われた。
地味なメンバーは社内でもあまり話しかけられず、男性と一緒になってタバコを吸う女子は可愛がられた。
その後、会社に溶け込めず転職した私は、全く別の業界でアシスタント業務に従事した。
会社がワンマン経営だったこともあり、瞬く間に自分の所属部署がどこなのかわからなくなるほどに仕事が増えていた。おかげさまで営業マンと喧嘩をするほどのたくましさと、その状況下でも「私は悪くないです」と主張できる図太さを手に入れた。
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そんな男みたいな女の私がキャリアを意識したのは、その会社から転職した26歳の時。
何かを成し遂げたい、と意気込んで入社した私は、男性陣の残業祭りに進んで参加し、指示されたことは必ず遂行し、どれだけ疲弊しても笑顔で文句ひとつ言わずに2年間働き続けた。
そして、ついに、目標としていた「店長」というポジションを手に入れた。
「初の女性店長」ということもあり、我ながら自分を誇りに思いつつ、ここからどんなキャリアを描こうかとワクワクしながら考えていた矢先に私を待っていたのは、上司たちが初めて私を女性として扱った声だった。
当時、結婚したばかりの私に、子供はいつ作る予定?ゆくゆくは産休とかとるよね?子育てしながらできる、こういうポジションはどうかな?など、なぜか勝手に決められている私の未来。
そして、昔からの女友達や自分の親さえも私に同じ言葉を投げかけた。
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その当時、私はとてつもない違和感と共にたくさんの疑問が浮かんでいた。
なぜ女性のキャリアはここまでだろうと決められているのか。
どうして女性は子供を産むって決まっているんだろう。
なぜ女性は年齢で出産を決められてしまうんだろう。
確かに店長のミーティングでは女性は1割しかおらず、あたかも「ここから先は男性のポジションです」と言わんばかりに課長以上は男性のみで構成されていた。
これが女性が直面するキャリア形成の難しさなのかと悔しさが込み上げる。
確かに、女性は結婚したら妊娠、出産、子育てというイベントが待っていて、その考えは当たり前のように多くの人の頭の中に存在している。
でもそれは、あくまで過半数の人たちの固定概念に過ぎないのだ。
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それから半年、私は、自分のパーソナリティを活かして自分のポジションを作ることに決めた。
結局私は、自分がやりたいことを優先し、私らしい生き方を考えた結果、仕事に時間を注ぎ込むことを決めた。
自分の人生は他の誰でもない自分で決めて、切り開いていきたい。
子育てママさんやバリキャリの女性、どちらがすごいとか偉いとか、天秤にかけようとすることすら間違っていると思う。
だって、自分の選択の結果が正解だったかどうかは、自分で決めるのだから。