私には、出会って7年目の「親友」がいる。
彼女のことを、ここではRちゃんと呼ぶ。

Rちゃんとの出会いは、高校で吹奏楽部に入部したことがきっかけだった。
私たちは部活動推薦で入学したので、他の生徒より約一週間早く部活動が始まった。 
Rちゃんとはパートも同じだったので何かある度、一緒に行動した。
地元の私立高校の中では有名な吹奏楽強豪校だったので、少ない休みの中で毎日練習に明け暮れ、学生の青春を共に刻んだ。

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今となっては笑い話だが、私たちは性格が正反対で、意見が合わず何度も喧嘩をした。
喧嘩をしては沈黙の日が続き、仲直りをした訳でもないがいつのまにか元通りになるのは毎度のこと。
みんなに迷惑をかけすぎたよねっていつも話してる(笑)。
そんな私達はプライベートは親友として、部活動では戦友として3年間頑張ったのは一生の思い出だ。

卒業と同時に私達はそれぞれの道に進み、関わる事が減ってしまった。
SNSは繋がっていたけれど、会話をする事もお互いどんな生活をしているのかも全く分からなかった。

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2年後、私達は成人式を終え、21歳目前の5月、Rちゃんから連絡がきた。
「別れた」と。
長く付き合っていた彼の存在は知っていたので驚きだった。
その日は1日中電話を繋ぎながら、今までの空白の2年間を埋めるかのように沢山話をした。
話は尽きず、15時を迎えた頃、私は言った。
「Rちゃん、今から会いに行ってもいい?」
電話越しでも喜びが伝わってくるくらい、すごく喜んでくれた。

私達は学生の時とは環境が変わって、お互い別々の県に暮らしていた。
片道、約2時間。約2年ぶりに会える楽しみと、久しぶりに会うドキドキした気持ちと何から話そうかというワクワクなど、色んな感情でいっぱいだった。
久しぶりに会ったRちゃんは痩せて、弱っていて、私の知っているRちゃんとは思えなかった。

恋愛の事・仕事の事・家族の事・空白の2年間の事、気の済むまでいろんな話をした。
帰りの事も考えて、日をまたぐ前にまた会おうねと約束をしてバイバイした。

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お付き合いしている方はおらず、お互いフリーだった私達は、それから時間など関係なく連絡を取り合い、会いたいときに会い、時にはお酒を飲みに行ったり、恋人のような親身な関係となり、現代語で言う「フッ軽」な関係になった。

元恋人にひどく傷つけられた私達の共通点もあり、有名アーティストの歌詞通り「いつか恋に終わりがあっても私たち永遠でしょ」の響くフレーズ。
今の私たちの関係はそれに近いのかもしれない。
空白の期間があったけれど、1つのきっかけで再会し、学生時代に比べ、社会経験を積んだ私達は共感できることが増えた。

私はとあることがきっかけで、人間不信になり、誰も信用できず自分の気持ちを内側に塞ぎ込んでしまっていたが、Rちゃんにだけはなんでも話せた。
私の中でRちゃんの存在は大きくなっていた。
そのころからRちゃんは私にとって「心友」となっていたのかもしれない。

私の心が不安定なとき、涙が止まらない時、嬉しいことがあったとき、どんな時でも親身になって話を聞いてくれてありがとう。
これからも、Rちゃんが頼れる存在であり続けられますように。