4年前の4月、私は劣等感にまみれて、東横線にのって毎日研修会場に向かっていた。

新卒で入社した会社は、首都圏を中心として関東の大学に通う学生からは人気が高い外資系の企業だ。しかし地方大学出身の私は、名前さえ聞いたことがない会社だった。ちょっとした偶然が重なって待遇の良さから入社したが、入社式も終わり研修が始まったときには、安易に待遇の良さにつられて入社したことをちょっと後悔していた。

なぜなら研修の時の自己紹介で分かったのは、同期のほとんどは関東の有名国立・私立大学の出身ばかりで地方大学卒業者も珍しいのに、私と同じ大学出身者なんて同期はおろか先輩社員にも一人もいなかった。
そんな出身大学のコンプレックスから、研修のときもどこか「自分が劣っているのではないか?」という思いが常にあった。研修を受けていると自分が同期と比較してものすごく無知で能力的に劣っている気がした。

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研修後にプロジェクトに配属されてからも、その劣等感が消えることはなかった。
どこか自分と比較していると、同期は優れていてうまく仕事でも立ち回っているように思えた。毎日毎日自分は同じチームで働く人や会社に対して何か貢献できるような働きができているのか不安で、自分が情けなくて仕方なかった。
それと同時に、負けた気持ちのまま逃げるように会社は辞めたくない、辞めるにしてもいつか「勝った」と思えるようになってからだと思った。どうしても無理でも最低3年は頑張ってみようと思った。

2年目に突入して、今までと少し違うプロジェクトに携わった。チームリーダーとして派遣で来ているスタッフをまとめながら業務を進めることとなった。
もともと性格的にリーダーとして人の上に立ち、引っ張っていくことに苦手意識があった。そのため不安しかなかったし、実際業務に入ってからも日々仕事に追われて、全然うまく仕事をやれている気なんてしなかった。
定期的にある業務についての評価で良いフィードバックをもらっても、「どうせ基本的に良かったことしか伝えてないんでしょ?お世辞でしょ?」と素直に受け取ることができなかった。

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初めて「あ、意外に私、うまくやれているのかも?」と思えたのは、3年目に入ってからだった。
同じプロジェクトで働いていた方から褒めてもらった時だった。違うチームでかかわることはほとんどなかったが、仕事ができて信頼も高い人から褒められたことがすごく意外で、不意打ちだった。
入社して4年が経ち、プロジェクトの中でもチームリーダーとして働くことが当たり前になり、より責任感のある仕事を任せられるようになった。同じプロジェクトで新入社員と働く機会が増えてきて、自分が入社した時をふと思い出すようになった。
入社したときは、あんなに劣等感まみれでうまくやれる自信なんてなくて、最低3年間は頑張ろうかな、くらいに思っていた。いつの間にか、その最低ラインを超えてしまったことと同時に、ずっと抱えていた劣等感が消えていることに驚いた。

振り返ると、新卒のときに分からなくても当然だったのに、必要以上に不安と劣等感に苛まれていた。大したことは伝えられないし、いい先輩・上司ではないかもしれないけど、私と同じように劣等感に苛まれず、自信をもって働けるよう言葉で、働き方で伝えていけたらと思う。