最近、家の中が散らかっている。片付けども片付けども、綺麗になる気配がない。見渡せば、あちこちにおもちゃが散乱している。ちょっと歩けば、ブロックを踏んづけて悶絶する。そんな毎日を過ごしている。
娘が産まれてからというもの、おもちゃが尋常じゃないレベルで増えていく。何かにつけてじいじやばあばが買い与えるのもあるが、実は私が娘に隠れてこっそり買っているのだ。
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私はシルバニアファミリーやリカちゃんが好きだ。可愛いのはもちろん、子供の頃に遊んでいて、苦楽を共にしたと言っても過言ではない。随分お世話になった。
実家に帰った際、母が押し入れから私が遊んでいたリカちゃんを出してくれた。お世辞にも綺麗とは言えない。どのリカちゃんも髪がボサボサで、爆発している。さらには、散髪と称して髪を切ったリカちゃんまでいる。
「めっちゃ遊んだなあ」
子供の頃に遊んでいたおもちゃなので、娘が楽しそうに遊んでいるのを見ると感慨深いものがある。
「娘も喜ぶやろ」と半ば押し切られるような形で、実家のおもちゃを引き取って帰ってきた。ボロボロのリカちゃんだけど、良いのかな……。そんな不安をよそに、娘はニコニコと毎日リカちゃんで遊んでいる。YouTubeを観ては、「次はパティシェよ」「お友達にひまりちゃんがいるんだって」と、せっせと情報を集めては私に教えてくれる。欲しいものもたくさんあるみたいで、一所懸命にプレゼンをしてくれるのだ。
ほんの少し前まで、赤ちゃんだったのに。いつの間にか成長していて、口も達者だ。彼女が成長するのなら、私も何か彼女が喜ぶものを用意してあげたい。
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せっかく、同じ女の子として産まれたのだ。リカちゃん以外に、私が昔好きだったおもちゃにも触れてもらっても良いかもしれない。リカちゃん以外にも好きなものが増えたら良いな。
夫とも相談して、軽い気持ちでシルバニアファミリー専門店に行った。その時だった。
「可愛い!」
娘よりも先に声が出た。子供の頃に見たあの可愛いファミリーたちがこっちを見ている。頭の中が可愛いの大渋滞だ。
なんとか正気を取り戻して娘の方を見てみると、娘は固まっていた。もしかして好みじゃなかった?やっぱり、リカちゃんのおもちゃを買い足せば良かった?と色々考えていると、「きゃあ素敵〜!」と言うではないか。
シルバニアファミリーは、私の予想に反して、娘にも可愛い存在として認識してもらえたようだった。悩みに悩んで、お家とショコラウサギのファミリーをお迎えした。
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なんだかんだで娘は、シルバニアファミリーとリカちゃんで器用に遊んでいた。飽きることなく、今日はリカちゃん、今日はシルバニアファミリーと遊んでくれているので、私はほっと胸を撫で下ろした。
この様子なら、もう少しおもちゃを買い足しても大丈夫だな。先日のシルバニアファミリーの購入で、私の中で欲が出てきたようだった。家があるから、家具を買うか……こっそり、娘が昼寝をしている隙にネットで手早く注文した。届くのが楽しみだ。
届いた家具を見て、娘はまたニコニコと遊んでくれる。
「これはいける」
私は確信した。以前のように、またシルバニアファミリーを集めるチャンスだ!
リカちゃんと違って、シルバニアファミリーは中学に上がる前に全て処分してしまった。当時の私自身、とても気に入っていたけれど、引っ越しの際に泣く泣く処分したのだった。
大人になったら買いなおそう。そう思いながら、日々を過ごしていた。それがやっと夢が叶えられる時が来たのだ。私は、リカちゃんのおもちゃを買いつつ、こっそりとシルバニアファミリーのおもちゃを買い足していくのであった。
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こうして、我が家はおもちゃであふれかえってしまった。
娘のおもちゃに紛れて、私のおもちゃが混ざっている。私の欲しいものと、娘の欲しいものを相談しながら購入していく。子供の頃に手放してしまった後悔と、またもう一度童心に帰りたい私のせいで、今日も家におもちゃが増えていく。
夫にいつバレるのか、いやもうバレてるかもしれない。ヒヤヒヤしながらも、「娘のため」と言い張りながらおもちゃをそっと棚に並べておく。