私の、他者には言えない隠し事は……「食に対するこだわりが強い」ことだ。

一口も食べられないわけではないが、丼ものや麺類、粉物……苦手である。
中でも、様々な食材が混ざっているものは、イーーーーーてなってしまうほど苦手である。
特に苦手な物をあげると、野菜炒めである。
人参、玉ねぎ、キャベツ、豚肉 etc……それぞれの食材を単体で食べたい。

疾患の治療のため入院していた時、食事の時間になれば、まず蓋をとる→サラダから仕分けをしていく(同じ食材ごとにお皿の上に並べる)→メイン料理も同様に行う→全ての料理の仕分けをし終えたら食べれるものを食べる、という流れである。
軽く仕分けだけで40分はかかってしまっていた。
下膳に来てくださったNsさんに、
「おさるの下げにきたら、今日何の食材がつかわれているかよくわかるわ!ほんと綺麗に細かく分けてるね!」
と言われるほどだった。

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もう私の仕分け作業が定番になってしまい、この時、治療のためお粥さんになっていたのだが、ついには「お粥さんも1粒ずつわけるの?」と、ニンマリ笑顔で聞かれるくらいになってしまった。
お粥さんであっても、たまーーーに「お粥さんのわかめご飯」という日もあり、私は、しょぼくれていた。
「唯一、仕分けしなくても食べられているお粥さんが今日は緑だったよ!わかめが侵入してきてた!」
と、下膳にきてくれたNsさんに嘆いていた。
これだけNsさんにいじられ、仕分け作業も面倒ではあるが……これをしないと私は食べれるものがない。口の中で違う食物同士が混ざり合うというのが苦手なのである。

仕分け作業をしているがゆえ、よくNsさんに「おさるの好物は何?」と聞かれることが多かった。
私は「きゅうり、ちくわ、桃!」と答えた。
すると「きゅうりとか、もうカッパの好きな食べ物やん」と爆笑された。

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この私の偏食?こだわりぶりは、幼なじみにすら言えていない。
もともと外で食べることを好まない私なので、このこだわりぶりに困っているか?と言われたら現状では、少し困っている程度である。
コロナ禍で、会食というものが減ったが、身内で集まり食事をしなければいけないことがあったり、食事の席に行くことがあった時は、冷や汗がでるくらい緊張する。

食材ごとに分けて食べるなんて、食事のマナーとしては非常識なのは重々承知のうえである。
いかにスマートに口の中で食材が混ざらないように食べるか……私の心の中で「食事VS私」の戦いのゴングの音が鳴り響くのである。

このような食に対するこだわりは、少し恥ずかしく周りに言えない……私だけの秘密である。
いつか、色んな食材を一緒に食べられるようになった時、「実はね……」と過去の話として笑い話にできていたら嬉しい。