「国際結婚」。これは間違いなく、私の人生を変えるきっかけになった、大きな選択だった。今となっては旦那になった彼との「妥協」という、二人の小さな選択の日々(闘い)が続いている。
そしてこの小さな選択は、やがて積りに積もった「犠牲」となり、二人の未来の人生をも変えてしまうのだろう。

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異なる文化で育った者同士が、同じ屋根の下で生活を始めるようになって早半年。遠距離恋愛ではお互いに気付かなかった違和感に、容易く理解・受け入れられることができる時もあれば、その考え方の違いに苦しみ・怒りになることも多々ある。
これは国際結婚だけに関わらず、赤の他人同士が結び付く結婚なら、どの夫婦にも言えるかも知れないが……。

私にとっての「当たり前」は、彼にとっての「当たり前」ではなく、彼にとっての「日常」は、私にとって「非日常」なのだ。
たとえそれが小さなことであったとしても、やがてそれが二人の間に大きな溝を生み、それに耐えられなくなると離婚という選択肢も一つとしてあるのだと感じた。

新婚生活がスタートして半年、文化の違いで許し難いことも、今はお互いの思いやりや愛でカバーできている部分は多いように感じている。それなりに慣れも出てきたからなのか、彼の性格や異文化も受け入れられるようになった。

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それでも、私がどうしても一つだけ許せないことが、彼が定期的に私の携帯チェックをしてくるところだ。
「少しぐらい自分だけのプライベートがあってもいい!」と私は主張するのだが、彼の主張としては「夫婦には一つも隠し事はない。だからいつ誰が何を見ても、二人の間にはプライベートなど存在しない」という意見なのだ。

そんな私は、個人のメッセージを一つ一つ彼に読まれたり、SNSのフォロワーまでチェックされる徹底ぶりだ。知らない人をフォローしたものなら、「これは誰だ!」と問い詰められ、自由も何もない。
まるでカゴの中に入れられた小鳥のように。私の行動範囲は、安心安全な彼の目の届く範囲に定められているのだ。

そもそも結婚自体に「制約」というものが存在するのなら、そんな結婚なんてわざわざしないで、自分で稼いだお金で、自分の好きなようにお金を使って生活している方が、よっぽど健康的で自由に暮らせるかもしれない。
なんて、結婚した私がいうのも、もう手遅れなのだが。
私は「結婚」という、人生を変える大きな選択にもちろん後悔はしていないが、今となっては結婚しない独身フリーに憧れることがあることも事実だ。

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いずれにしても、「結婚」を通して自分の命を賭けてでも、唯一無二の守りたい存在に出会えたことほど、幸せなものはない。
そしてこれからは、もっともっとお互いの「妥協」が増える一方かもしれないが、それ以上に、人生を良い方向に変える大きな選択を楽しめる未来を、二人で創っていく。