春夏秋冬をあなたから感じるくらい、あなたのことが好きでした。
下着が長袖から半袖になったときに夏を感じ、腕の中が心地いいなと思ったときに冬の訪れを思った。
誰にも送れないラブレターを書く気持ちで、大好きだった人に感謝をこめて。
彼と会うたびに過ごす、つらくて虚しい夜
はじめて出会ったのは会社の飲み会。
初見ではかっこいいな、くらいで、ただただ顔が好きな先輩だった。
そこから仕事が同じになって一緒に働くようになってからは、その人の人となりを知れるようになった。
軽率そうだけど、会社としての帰属意識がつよいところ。
後輩をちゃんと気にしていて、業務だけでなくメンタルの配慮もしてくれるところ。
ただかっこいい先輩だったはずなのに、深く知り合ったせいでその輪郭ごと好きになってしまったと気付いた。
でも、その時点でもう私には見込みはなく、軽率な私は顔のいい先輩という気持ちで体を重ねてしまっていた。
相手は自分のことを人肌恋しい時の相手としか思ってないことは重々承知だった。
後輩であることと、そういう関係であることは別軸なのだ。
会う度につらいのに、自分のものになってくれる一晩を忘れられなくて、虚しい夜を何度も過ごした。
区切りをつけて迎える、健康で前向きで寂しい朝
どのタイミングだったか、急に気持ちが溢れてしまってどうしてもつらくなってしまった。
自分の気持ちに折り合いをつけることができなくなってしまった私は、告白するという形でこの恋に区切りをつけることにした。
納得できる形で終わらせたくて、終わり際に自分のことをもったいないなって思ってほしくて、自分磨きも仕事もがむしゃらに頑張った。
ダイエットして、美容皮膚科に通って、仕事では自分にできる仕事はすべて受けて……。
前を向いて、前を向いて、前を向いて、頑張っているうちにその人に対しての気持ちを自分の頑張りが追い越して、情けない自分を肯定できるようになった。
人からも綺麗になったね、って言われたし、仕事も上司から頑張っていていいねと言われるようになった。
人から褒められるのは嬉しかったし、なにより自分に言い訳しないように頑張っていたから自分を認めることができた。
そもそも思うのは、頑張れるポテンシャルがあったのは自分で、前を向いていけたのは他でもない私のおかげなのかもしてない。
でも、それに気づかせてくれたのはその先輩だった。
頑張ろうってきっかけを先輩から勝手にもらっていた。
想いをこめた花束をあなたに
つらい気持ちばっかりだったし、片思いで幸せだったことなんてないけど、追いかけているうちに気持ちを自分に向けることができた。
それは私があの先輩に出会えたからだ。
自分のことを愛せるようになったら諦められるくらいには普通だったけど、自分を愛して大切にしようと思い立つくらいに大好きだった。
強い私と出会えるきっかけになってくれたあなたへ。
春夏秋冬を感じさせてくれたあなたへ。
がむしゃらに頑張ることで自分を愛すきっかけをあなたへ。
春は晴れやかな希望をくれたラナンキュラスを。
夏は辛抱強い愛を持つ力をくれたからアナベルを。
秋は前に進む強さをくれたからガーベラを。
冬はそれでも忘れてほしくはないからクリスマスローズを。
春夏秋冬すべての花束を愛をこめて。
ありがとうございました、大好きでした。