12月31日、日本を飛び立ちます。
決定事項はそれぐらいで、逆にそれ以外は何も決まっていない。
けれど私にとっては大きな大きな第一歩。

2月の頭に、誕生日の宣言として動画を撮った。
1.海外脱出。
2.社長になる。
3.次の誕生日まで生き延びる。

2においては2023年に1カ月でラストスパートをかけるとして、3においてはある意味宣言に相応しく、宣言をした誕生日当日に血を吐き、婦人系の病気には2つかかり、ここ最近は体調不良で1カ月ほど寝込んだ結果ヘルペスだったというオチまでついて、本当に健康の大切さを思い知った一年でありながら、なんとか目標達成にむけて生き延びている。
そして1つ目の海外脱出も、遠い夢の話からようやく目の前の目標として辿り着きそうだ。

◎          ◎

思えば人生に迷い出した3年前から、ずっと"海外脱出"と言い続けてきた気がする。
そしてその度に、
「んー、憧れだったデンマークに行くべき?」
「やっぱり将来を考えるとオーストラリア?」
なんて夢の話ばかりしたあと、お金の話、体調の話という超現実的な話を突きつけられ、ようやく諦めがついたかと思えば、「やっぱり海外に行かなきゃ!!」と、海外への憧れを口にするのである。

ここ3年の話だけではない。
自爆テロ全盛期の中、卒業旅行で1人で行こうとした時も、仕事を辞めて真っ暗闇に包まれた将来に途方に暮れて悪化する体調に手を煩わせた日も、元気になって外国でやはり働きたいと思いつつ、コロナ禍で外国への壁が厚いと感じた時も、結局毎度毎度言い訳をして諦めてきたのだ。

別にそこまで行きたいのなら命懸けで行けばいい。
そこまで行きたいのなら足を引きずってでも、薬を何百錠飲んででも行けばいい。
家族や友達に会えなくなるのを覚悟で、行き来の制限された国境を越えればよかった話。
私はずっとそうやって何度も何度も言い訳をしながら、行かない選択肢を選ぶくせに、行ったと仮定して妄想するのが好きだった。

そうこうしているうちに歳を取り、体力もお金も元気になるどころか減る一方。
「このままでは20代の私がかわいそう」
そう思ったのが9月の半ば。
何はともあれ一度は行かなければ。
そんな思いが自分の中に生まれた。

◎          ◎

行き先はデンマーク。
みんなが行けというオーストラリアではなく、自分が行きたかったから。
ワーホリビザを取る為に必要な残高証明というものを、オーストラリアドルでもなく、守りに入った米ドルでもなく、デンマーククローネというデンマークの通貨で出したことで、私の人生は大きく進み出した。
いくつかあった行き先は1つに絞られた。
選択肢もぐんと狭まって、やらなければならないことがはっきりと見えてきた。
そのあと保険に入り、航空券を取り、必要な書類を揃え。
たかだか残高証明を出しただけで、ここ1カ月でどんどんと話は進んでいく。
自分でも怖いほどに。

出発日は12月31日。
何がなんでも今年に決めたことは今年中に行動に移したかったから。
ビザは来週取りに行くし、下りるかも分からない。
おまけに借金は150万のままだし、もちろん貯金は0。
食費も相変わらず毎月50万使う日々で体は言うことを聞かない。
家も決まっていなければ、職も決まっていない。
これだけ何も決まっていないから帰りの飛行機も取っていない。
なんてデンジャラスな片道切符なんだろう。
自分でもそう思ってしまう。
むこうでお金がなくて物乞いになっても、帰りの飛行機が取れなくて空港で彷徨って捕まっても、泊まる場所がなく寒さで凍え死んでも、全てに納得されてしまうような生活が待っているとしか思えない。
けれど、行かなきゃ行けない。
今回ばかりは。
どんなに苦しくても、一歩先が見えなくても、絶対に行かなきゃいけない。
どうしてかは分からないけれど、心の底からそう思う。

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きっとそういう時は、理由があるはずだ。
思い返せば東京に来た時もそうだった。
今年中に東京に引っ越す!と決めたのが2020年12月頭。
家の契約から、引越しの手続き、死に物狂いで全てを片付け、1カ月で全てを整理し、2021年が開けてすぐに無事引っ越しを終えることができた。
今回もきっとそう。
もしかしたら3日で帰ってくるかもしれない。
もしかしたら一生帰ってこないかもしれない。
けれど行くことにはきっと理由があって、行った先には明るい世界がひらけているはず。
そう信じたい。

今から旅立つまでに、ビザの申請もしなければならないし、仕事も家も探さなければならないし、向こうで死なないためにお金を稼がないといけないし、できれば親孝行をしてから行きたいし、なんなら家の解約だとか銀行の住所変更だとかやることは山ほどある。
けれど、不思議なことに全てやりきれる自信があるし、今回は逃げずにやり切るしかないのだ。
そんな強い心が私の中にある。
1年後はどこで何をしているのだろうか。
不安も楽しみもあるけれど、そんな見えない未来への大きな一歩を、今年の最後の最後に私は踏み出す。