私には大学のサークルの友達で、半年に1回ドライブをする仲の男性の友人がいた。就職を機に地元を離れても、ある程度近くに住んでいたので、半年に1回ドライブに行くということを就職して以来続けていた。
ドライブの行き先は「〇〇に行きたい」と一つスポットを決め、その後周辺のグルメであったり、他の観光スポットを二人で提案し合うような形をとっていた。
行き当たりばったりの旅になってしまうことがあったが、それはそれでとても楽しかった。
会う頻度が半年に一回ということもあり、仕事の話や、お互いの友人の話であったりを共有するのにはちょうど良い間隔であったと思う。
会ってから、解散するまでの約8時間喋りっぱなしであった。
同性の友達のようにひたすら喋って、後腐れなく解散し、またどちらともなく連絡をして会うということを繰り返していた。
どちらかに彼氏彼女ができるまで、この関係は続くのかと思っていた。
◎ ◎
しかし、コロナの影響で日帰り旅行が難しくなった。
コミュニティの違う人と、長距離ドライブなど当時は考えられなかった。お互いの会社でも外出自粛が推奨されており、ドライブの代わりにごはんにいくこともなかったのである。
その辺りから疎遠になってしまった。
今思うと価値観の近い人であったなと思う。バックグラウンドが似ている人というのは、年を重ねるにつれて出会わなくなり、貴重な存在であったのだなと今振り返って気づいた。
コロナ禍前のある時、彼とドライブで訪れた土地にある、彩り豊かな蕎麦が忘れられない。
彼も同じものを頼んでいたので、食べ物の好みも似ていたのだなと3年経ってから気づかされた。
その時のドライブは、マイナスイオンを浴びにハイキングに出掛けた。
少し遅くなったお昼ご飯のお店を決めようと周辺の飲食店を検索したところ、たまたまヒットしたお蕎麦屋さんに行くことに決めた。
山菜そば、くるみそば、天ぷらそばなどが小盛りになっていて、色々な味が楽しめて大満足であった。
残念ながら、お店の名前を忘れてしまったのだが、何とかして探し出したいなと思っている。
もう一度あのお蕎麦を食べたら、彼とのドライブの楽しかった思い出が蘇るに違いない。そう思えるほどに、彼と食べた食事の中で印象に残っている。
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最近、私の方から彼に2年ぶりに連絡する出来事があった。
彼と私の共通の知り合いの友人が、結婚式を挙げた投稿をSNSで見つけて、新郎新婦を囲む写真に彼を見つけたので、最近元気にしてるかどうか気になり、聞いてみた。
またここから連絡を取るようになるのかなとちらっと思ったが、一瞬連絡が途絶え、数日後に彼から帰ってきたのは、彼自身の結婚の報告であった。
連絡をとっていなかった2年の間に彼は相手を見つけ、そして結婚まで決めていたということに焦りを感じなかったわけではない。
異性の友人が、そしてドライブ仲間が減ってしまったなと寂しくも感じた。
ドライブで訪れた各地と、そこで食べたごはんは、彼との楽しかった思い出として心に残っている。こうして大人になっていくのだなぁと客観的に思った出来事である。
今は彼に結婚の報告ができるように、自分の幸せに向けて努力したい。