私には、諦めきれない夢がある。
それは、自分のために時間やお金を自由に使える生活をすること。
夢ができたのはここ2年の間だ。社会という大海原に出て、自分をなくしていた時にたぐりよせた1つの考え方があった。この夢を授けてくれた出会いだった。

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前の職場での話をする。社会に出て数ヶ月が経った。今日も会社へ足を運ぶが、その足取りは重たい。
私の仕事は、憧れる人が多い職種だ。明確なきっかけを持ってこの世界に入る人がほとんどで、夢と希望だけで突っ走っていることさえある。
そんな、希望に満ちた世界で、希望を感じられずにくすぶっている私。この仕事は、私には微塵も魅力を感じることなく、成り行きで就いてしまった仕事なのだ。
それゆえに、現実を見れば見るほど背けたくなるものばかりが見える。思っているより重労働で、給料は意外ともらえない。かなり身を削って働いている分、もっと給料を上げてくれたら良いのに、なんて思うほどに大変だった。

やりがいが見つからず、本当はこうじゃなかった、と何度も思った。自宅の天井を見つめて、辞表を提出する様子を何度妄想したことだろうか。
当然心は疲弊して、仕事は常に無を貫いた。能面みたいに笑わない、周りとの関係は遮断する、仕事は定時で終わらせて一目散に帰る。それだけで精一杯になっていた私が、正気でいられるはずがなかった。

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そんなとき、ある考え方と出会う。
自分を肯定して、ワクワクを感じながら過ごすという考え方だ。

会社に縛られて、休んだ気にならない休みを過ごして、また出社する。そんな生活から抜け出したかった。しかし、次にやりたいことは見つからない。ここを打破するために、取り組んでみたワークがあった。
それは、ワクワクすることや自分がときめくことを書き出す、というものだった。
得意なこと、好きなこと、今興味があること、将来なっていたい姿。とにかくポジティブに未来を想像して、こうなっていたいと思う姿を思い描いていくことで、はっきりとした像にしていくというワークだった。
書き始めは、まったく思い浮かばなかったが、一つ、二つと書いていくにつれてつらつらと書けるようになった。そこで出てきたのが、自分のために時間やお金を使って生活できることだった。

とても大きくてざっくりした夢だが、ここには私がワクワクすることがすべて入っている。文字を書いて生計を立てること。当時していた仕事をやめること。習い事を始めること。自分磨きに時間とお金を割くこと。毎日笑って過ごすこと。これらを“わくわくプロジェクト”と名付け、実践することにした。
とはいえ、何から始めるべきかわからないので、文字を書いて生計を立てられるように準備することから始めた。当時はまだ正社員で働いていたため、むやみに稼ぐことは出来ず、文章のスキルや作業の習慣化をした。

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こうして、気づけば1年が経過している。無理だと諦めた期間があり、目標にはまだまだ遠いが、夢は諦めていない。金銭的にそろそろ結果を出さなければいけない時期に突入しているため、もう悠長なことは言っていられない。
いつかリベンジするのではなく、そのいつかは今だ。今、1年前に決心して投げやりになった思いを奮い立たせ、ワクワクするために必要な基盤を作る時が来たと思っている。
好きなことを仕事にし始めて、今は働くことが楽しいと感じられるようになった。文字を書くことを通して、仕事の楽しさ、やりがい、収益が出たときの嬉しさ、仕事をやりきったときの達成感。もっともっと感じたいと思うのだ。

こうしてみると、少しずつ達成できているのかもしれない。楽しいと思うことや文字を書く仕事をすること、前の仕事を辞めたこと。一歩一歩前に歩きだしている。私のリベンジは、始まったばかりだけれど、絶対に完璧な成功を手に入れてみせる。今苦しさと戦っている自分に、必ず勝てるから、と言えるように。

リミットが迫っている今だから、諦めきれない夢になるのだろうか。しかし、焦ったときほど本音が出ると言うように、リミットが迫っている状況でこの思いが出るのだから、心から叶えたい夢であることには間違いない。一日一日を大切に過ごして、今すぐに夢を実現してみせる。リベンジを果たしてみせる。