ラストスパートは普通、ゴールに向かってするものでしょうけれども、私は来たる2023年を最高速度で迎えるためにスパートをかけたいと思います。
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毎年年末は、どこかゆっくりとした消化試合じみた生活になっています。特にイベント事に参加するのでもなく、師走の字面通りあくせくと働くわけでもなく、のんびりと過ごしてきました。寒いので行動力も一段と下がる中、馴染みのものの中で揺蕩うようにして新年を迎えるのが常でした。もちろん、それも好きな過ごし方です。
しかし私は、そのよく言えば穏やか、悪く言えば自堕落なその年越しを、年が明けてもしばらく引きずってしまうのです。
自分の殻に篭った安穏とした生活は私にとって幸せですが、長引くと社会人として、人として不安になるものでもありました。ただでさえコロナの影響で、活動が制限される日々でしたから、なおさら。
興味のある美術館や特別展にも行き辛く、またカフェでゆっくり読書やお茶をする機会も減りました。友達や家族と出かけることも。何より、大型書店を拾い読みしながら何時間も回るというお気に入りの遊びができなくなりました。
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そうして残った生活はルーティンの繰り返しで、私の場合、冬場で気力体力が落ちると本当にそのルーティンしかしなくなってしまうのです。
月曜日に週刊誌の感想をSNSでチェックしながら会社に行き、火曜日は卵とお弁当用の冷凍食品を買って帰ります。水曜日には洗濯をして、木曜日のお昼ご飯はお弁当作りをサボってカップ麺。金曜日はお気に入りの週刊連載がアップされるのでチェックして、来週に持ち越さないレベルまで残業。週末夜更かしした土曜はゆっくり起きて洗濯をしたあとは自由。日曜は最低限食パンと牛乳を買うためにスーパーへ出掛けます。
これが私の一週間で、飛び込みの予定がない限り繰り返され続けます。
決して悪い生活ではないと思います。自分を養う働きをして、最低限の家事をして、健康を損なわない程度の食事と睡眠と運動をしているのではないかと思います。平和で平凡な普通の生活で、それが当たり前に送れていること自体が恵まれていることだともわかっているつもりです。
ただ、これがあまりに繰り返されると、学びと刺激の無さに自己嫌悪に陥ってきてしまうのです。必要最低限のニュースしか取り入れず、人との会話も少なく、新しい雑学がなんら積もらない日々。脳みそが鈍化しているなあ、と感じるのです。コロナ禍になるまでにはあった、仕事とは違う、新しい何かへの興味関心という刺激を失って、活動が鈍くなっているような。そしてそれはちょっと、嫌だなあ、とも。
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なので、私はこれから年末までの日々を、自分なりに精力的に過ごしたいと思うのです。
脳みそに新鮮な栄養を取り入れられるような日々を。新しい本を読み、新しい映画やドラマを観て、新しい音楽を聴く。早寝早起きして、バランスの取れた食事を取って、風景を楽しみながら通勤路を歩く。旧友たちをリモート忘年会に誘う。目新しいものを手に取ってみる。気にいるものがあれば、買ってみる。そうやって、新鮮なものを貪欲に取り込み、知らない道に踏み出す姿勢で走りたいのです。
ちなみにもう、準備は始めています。新しいシリーズの小説を揃え、友達と遊ぶ約束を取り付け、食べてみたいケーキの目星を付けました。1ヶ月間のお試しだけでもサブスクに入ろうかと色々比べてみています。
そうして2023年を迎える瞬間を、全速力で駆け抜けられたなら。これまでとは違う年越しとなって、年明けからの自分を変えられるのではないかと思うのです。