中学の理科の先生が大好きだった。成人式での再会を楽しみにしている

私は今でも後悔していることがある。それは、ある先生と中学校の卒業式で写真を撮らなかったことである。

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その先生は私が中学2年生の頃に新任としてやってきた。少し色黒で、見るからにスポーツが得意そうで背が高くて……第一印象から私の好みのドンピシャだった。
先生にあっという間に惹かれていた。先生が自身のクラスの理科を担当すると知った時には、心の中でガッツポーズをしまくった。

先生のことを知っていくにつれて、どんどん気持ちが大きくなっていった。
まずしゃべり方が好きだった。向かいの県出身だった先生は、エセ関西弁風の方言をしゃべっていたのである。

授業中教室をまわる際にはよく気にかけてくれていたし、そんなしゃべり方で話しかけられたら、もう好きになってしまうに決まっている。
そして、おちゃめなところも好きだった。授業参観が始まる前に先生に話しかけに行くと、「今日先生いつもと違いますねって、ちゃちゃいれてや!」と言ってきた。可愛かった。
そして何といっても少しツンデレなところがたまらなかった。

こんなエピソードがある(私にとってツボなだけかもしれないが聞いて欲しい)。
私は先生に名前を呼んで欲しくて、発表の機会があればいつも挙手していた。でも先生は私がアピールしまくっているのを見越してか、あまり当ててくれなかった。やっと悔しそうに私の名前を呼んだのは、周りが全然当ててもらえんねって言い出してからだったのである。

もうひとつ。朝練があり早めに登校していた私は、先生が車で通勤する時間とちょうどかぶっていた。運がよければ先生を一目見ることができたので、毎朝学校の前の長い坂を登る際には期待していたものである。ただ、私が手を振ってもツンデレな先生は手を振らずにジーっと目を合わせるだけであったのである。

たくさん胸キュンもさせてくれた。私が先生に対してウインクをすると(今となってはなんでこんなことができていたんだろうかと感心するが)、可愛い、可愛いよって言ってくれた。前髪を切ったことに気付いてくれて、よく気付きましたね?って聞いたら「気付くよそりゃ」って言われた。

お互いいじり合える仲になっていくのも、勉強しとるのがよく分かるって認めてくれるのも嬉しかった。先生が、元々私の志望していた大学出身であることも、勉強意欲を掻き立ててくれた。

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先生に本気で恋愛感情を抱いていたと思う。恥ずかしながら、ガラスの仮面を読んでいて、私と先生も「魂のかたわれ」だったらなぁと妄想にふけったこともあった。
その上、周りの友達から、先生が現れたらいつも目がハートになってロックオンしているよねって言われていたほどだった。

なのに、気付いたら私は、中学2年から3年にかけてクラスの男子に恋をしていた。その男子とは付き合った。その交際は短期間で終わったが。その後私は一時期みたいに先生に夢中というわけでもなかったし、少し大人びたのか、以前のように押して押して押しまくり、私が公に先生に対して好意をアピールすることもなくなっていた。

実は3年生での先生とのやりとりはそこまで深く記憶していないのだが、理科の授業は先生が受け持っていたし、分からないところがあれば積極的に質問しに行っていた覚えはある。

それから、記憶しているのは、いまだに後悔している卒業式において、先生と最後に話したい、写真を撮りたいと思っていたにもかかわらず、変に思われないだろうかといった気持ちが先行し、結局先生の姿をまぶたに焼き付けるだけで終わってしまったということだ。

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高校生になって特に最初の方は、先生のことを思い出しては思いを募らせたり、最後に話して写真を撮ればよかったと悔やんだりすることがあった。

中学校と正反対の方向に自転車で通学するようになったのに、一度先生の車を見かけた。それから、その近くを通る時にはなかなか会える訳がないと分かってはいるものの、先生の車を探さずにはいられない自分がいた。それでも何回か先生らしき車とすれ違うことができたので、その度に心を躍らせた。

実際、高校生活においても付き合っている人はいたが、忘れた頃に先生を思い出すことがあった。先生という存在はなぜか格別だった。

大学生になって私は、先生が通っていた学校で過ごすようになった。そしてふとあることに気が付いた。

私がたまに先生を思い出す(忘れられないのではない、それは少し程度が大きすぎる気がする)のは、先生といった存在がきれいなまま私の中で残っているからではないかと。

私にとって、元カレだとお互い受け入れられないと感じるところが出てきているから自身の中で気持ちは消えてしまうものだ。でも先生は違う。先生といった存在、そして先生に対して秘めていた私の好意は一切痛みを受けることなくきれいなまま残っているから。

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この冬に成人式を迎える。3年生まで私たちの学年を担当していたその先生は、きっと来るだろう。自己満足でしかないが、今度こそは後悔がないようにしたい。先生の結婚へお祝いを述べた後、こう伝えるともう決めている。

「卒業式で一緒に写真撮りたかったのに、先生を意識するあまり臆病になってお願いできなかったことをずっと後悔してたんです。写真撮ってくれませんか?」と。
5年越しの願いが叶いますように。そして綺麗になったと思わせたいからダイエットも頑張りたいな。

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