初めての恋人にもらったレモンティー。衣装棚の奥にそっとしまった
デビュー50周年を迎えたユーミン、丸ビル20周年、新丸ビル15周年を祝う「Marunouchi Bright Christmas 2022~YUMING 50th BANZAI!~」とのコラボ企画です。通常募集時の1500字程度よりも短い180~500字程度のエッセイとなります。
デビュー50周年を迎えたユーミン、丸ビル20周年、新丸ビル15周年を祝う「Marunouchi Bright Christmas 2022~YUMING 50th BANZAI!~」とのコラボ企画です。通常募集時の1500字程度よりも短い180~500字程度のエッセイとなります。
初めての恋人と過ごす、初めてのクリスマス。
寒空の下、待ち合わせをした。
ぎこちない会話。揺れる前髪。
彼は私に、レモンティーをくれた。
冷えた指先に、ペットボトルの重みと熱が、じんわりと広がった。
公園のベンチで、私達はキスをした。
噂通りの、甘酸っぱい味がした。
何の変哲もないレモンティーだったけれど、彼が選んでくれたことが嬉しくて、私は飲み干した空のペットボトルを、クローゼットの奥にそっとしまった。
数ヶ月後、些細なことですれ違い、私達は別れた。
自分で振ったくせに、私は毎日のように泣いた。
翌年、一人のクリスマス。
私はコンビニで、レモンティーを買った。
まだ痛む傷跡に、レモンの酸味が沁みた。
それから私は毎年、クリスマスにレモンティーを買うようになった。
未練がなくなっても、彼との記憶が曖昧になっても、なんとなく続けた。
もはや特に意味はない。
私だけの、特別な約束。
今年で16本目。
甘酸っぱい味と共にぼんやりと思い出す、あの日見た澄んだ空と、冬の匂い。
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。