私と彼は、あるアプリで知り合い、会ったことはないが、付き合うことになった。
2人の共通の趣味は、歌だ。そして、彼は自称「歌手」だった。
彼に、オススメのカラオケアプリを勧められ、利用した。アプリ内ではDMを送り合える機能がある。
ある日、DMが届いていた。開封すると、
「彼を宜しくお願いします。彼女さんが出来たら、彼と縁を切ろうと思ってました。お幸せに」
とあった。彼の「元友人」を名乗る女性からだった。元彼女からに違いない、そう確信した。
後日、追記があった。
「彼は、常に同時進行で彼女がいます。そして、彼は嘘つきです」
と書かれていた。
以降、彼と、元彼女に、私は振り回されることになる。

嘘で塗り固め、複数の彼女に重い愛を頻繁に送る彼にゾッとした

まずは、彼の「重たすぎる愛」だ。
「こんなに好きになったのは初めて」「愛してる」「大事な話がある」
このようなラインが毎日、30分に1回はあった。私が仕事中も、例外ではない。付き合いたてなら嬉しいことも、毎日続くとなると、気味が悪かった。そして、私1人だけでなく、複数人に、同時に連絡をしているのか、と考えると、ゾッとした。
次に、彼の「真実をひた隠し、嘘で塗り固める」姿だ。
彼の顔を見たのは、連絡を取り合い始めて、3週間後だった。
ビデオ通話をし始めてからしばらくは、仮面を被って登場していた。なので、顔を初めて見た瞬間「おじさんじゃん」と引いてしまい、絶句したのを、よく覚えている。なぜなら「25歳」だと聞いていたからだ。
他にも、実年齢や、皺、筋力など、隠し切れない事実を、事前に包み隠さずに、話してくれていたら、覚悟して付き合ったのに。もしかしたら、過去に、女性に顔を見せた途端、振られた経験が、あったのかもしれない。
私は、元彼女と関わることに躊躇したが、彼についての情報を、教えてもらった。1番の衝撃は、彼が名乗っていた名前が、偽名だったことだ。後に、トラブルに発展するのを恐れたり、違う自分になりたかったのかもしれない。

元彼女との関係を疑う必死な彼とも、彼に執着する元彼女ともお別れを

彼との「SNS上での、彼氏彼女関係」に終止符が打たれたきっかけは、元彼女と、私が繋がっているのではないか、と彼が勘づいたからだ。
全てがバレたら、今までの努力が水の泡、と思い、血の気が引いたのだろう。彼に、執拗に、元彼女とのやり取りについて問われ、鳴り止まないライン電話の着信。必死さに呆れた。時間を空けて、お別れのラインを打ち、彼とのやり取りは終了した。
元彼女は、その後も、彼と連絡を取っていた。彼女自身、彼に「いつか結婚詐欺で訴えられるよ」と言いつつ、旦那様という存在がいるにも関わらず、彼とのやり取りを3年程続けていた。
私は最後に
「彼とはもう100%縁を切り、あなたも、側にある幸せ、旦那様との時間を、第一に考えた方が良い」
と伝えた後、元彼女との連絡も、絶った。

何が嘘で、何が真実か。もう、彼らとは縁が切れたので分からない

私は、元彼女からの情報が、全て正しい、とは思わない。彼が、元彼女に、白状したような口振りで語った事柄が、嘘、という場合だってあり得る。また、元彼女が、私と彼を引き離すために、ついた嘘の可能性だってある。
何が嘘で、何が真実か。もう、彼らとは縁が切れたので、分からない。
コロナ禍の恋愛。コロナ禍だからこそ、SNS上での出会いを、果たしたのかもしれない。SNS上では、相手が見えず、本心が読み取りづらい。何を信じたら良いか、疑心暗鬼に陥ってしまう場合があることを知った。結果的に、リアルでの恋愛も「暫くはお休みで良いかな」と思うようになった。彼には
「コロナだから、実家に帰ってきた。ツアーができない。会いに行けない」
と、言われ続けた。
コロナ禍を理由に、言葉巧みに、女性の心を支配し、自分のものにしようとする男性も、世の中には存在することを、身を持って知った。そして、間を割って入ってくる存在が、出現する可能性もある。
皆さんも、注意しつつ、コロナ禍での恋愛を、成就させて欲しい。