一人暮らしを始めてから迎える、初のクリスマス。1人を覚悟していたイブの夜、気になっていた職場の先輩からメッセージが届いた。
「明日の夜、皆で焼肉行こうぜ」
私は参加することを伝えた。

仕事が終わり帰宅し、前日までに決めていた服を纏う。他の先輩もいるのだから、ボーイッシュに、でもセンスが垣間見えるものを。私は聖なる夜とデニムオンデニムに祈りを込める。
黒と橙、そして紫の混じる空や、イルミネーションのような道行く車たちのライトを横目に、先輩が1人待つ車へと向かった。

食事が終わり、澄んだ空にゆらめく星を眺めながら、私はまた先輩と2人で車に乗っていた。仕事が苦痛なこと、家族との不仲、自殺願望。ジョッキを4つも空けた私は、先輩に全てを吐露し、泣きじゃくっていた。家のそばに着いても、明日が来るのが嫌だと駄々をこねた。
先輩は全てを受け止めつつ、ハンドルを握っていない片手で私の頭を撫で、遠回りをして家に帰してくれた。

あれから1年が経つ。
結局実らなかった恋心ではあったが、後にも先にも、あれほどまで自分をさらせる人間には出会えないだろう。
クリスマスの訪れを感じるたびに、私はあの夜を思い出し、胸がきゅっと締め付けられる。