恋する人は「急な予定が入った」と言った。私は引き留めずに見送る
デビュー50周年を迎えたユーミン、丸ビル20周年、新丸ビル15周年を祝う「Marunouchi Bright Christmas 2022~YUMING 50th BANZAI!~」とのコラボ企画です。通常募集時の1500字程度よりも短い180~500字程度のエッセイとなります。
デビュー50周年を迎えたユーミン、丸ビル20周年、新丸ビル15周年を祝う「Marunouchi Bright Christmas 2022~YUMING 50th BANZAI!~」とのコラボ企画です。通常募集時の1500字程度よりも短い180~500字程度のエッセイとなります。
12月24日。大学2年の冬。君と映画を観る。
クリスマス・イブということもあって、道のいたるところにカップル、もしくは恋人を待つ人の姿がある。そんな中を君と歩く私は、外から見たら「君の恋人」なのだろうかと、マスクの中でにやけた顔をすぐに戻す。
映画の前に近くのカフェで軽食を摂る。
ちょうど期間限定スイーツが提供されていて、他のメニューと迷いながらも、結局君は限定スイーツを選んだから、私はその愛しさを嚙み締めたよ。注文の品が来たときは、それはもうキラキラとした目で私に訴えかけながら喜びを体現するんだもの。
インスタグラムのストーリーに載せるフリをして、君の楽しそうな写真を2枚だけ撮らせてもらった。
君は今日もお洒落だ。そんなに映画を楽しみにしていたのか。
そう思いながら談笑していたら、君は言い難そうな仕草をして、映画の後に、急な予定が入ってしまった、と言う。
ああ、なるほどと、一瞬のうちにその寒そうな恰好に納得してしまう。
私となら、そんなクリスマスの魔法よりあたたかいのに。昔の自分なら、そんな言葉で引き留めたかもしれない。でも君にも私にも大切なものが増えすぎた。
「しっかり楽しんでこないと、許さないからな」
かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
「私」が持つ違和感を持ち寄り、社会を変えるムーブメントをつくっていくことが目標です。
恋愛やキャリアなど個人的な経験と、Metooやジェンダーなどの社会的関心が混ざり合ったエッセイやコラム、インタビューを配信しています。