どうしてこうも、冬ってやつは寒いんだ。
いや、寒いから冬なのか?
ということは、寒くない冬は冬ではないのだろうか?

久々のデート、それもクリスマスだというのに、そんなことを考えるくらいの余裕が今の私にはあるらしい。
「緊張」という感情をどこかに置いてきてしまったのだろうか?
大好きな彼を目の前にして感じるのは、「ドキドキ」というより「安心」だった。
それもそうだ。
「付き合いたてのカップル」というわけではないのだから。
ドキドキすることも、ときめく瞬間も、昔に比べてだいぶ減ってしまった。

「もうあの頃の私たちには戻れないのかな」
なんて、思ったその時だった。
「ほら、はぐれちゃうからコッチおいで」
そう言われ、グイっと彼の方に引き寄せられたかと思うと、手を握られ彼のポケットへと誘われた。

私の右手と彼の左手。
ポケットの中は、幸せな温かさで満ちていた。

「あ、どうしよう。余計なこと考える余裕ないや」
彼のことだけを考えるので精一杯。
いつになっても幸せを運んでくれる彼は、私だけのサンタクロースだ。