あの時、「一緒に食べよう」と声をかけてくれてありがとう。
あの時、手を差し伸べてくれたのに、それを仇で返すことになってごめんなさい。
ちゃんと、私が自分のことを話してたら今も私たち、バカみたいに笑いあっていたかな?

去年、初めて掲載させていただいたエッセイを改めて読んだ。たどたどしくて、拙い文。正直、読むのが死ぬほど恥ずかしかった。
とある界隈で、文字書きになって5年。今でも続けているが、一年前より成長しているだろうか?
少しでも成長していると信じて、ある友人への話を綴りたい。
「あの時はごめんなさい」 

これから、綴ることがテーマに沿っているか、はっきり言って分からない。
だが、いつか書いて投稿したいと思って書き温めていた話。テーマを見たとき、投稿するなら今しかない、そう思った。
エッセイというより、手紙かもしれない。
これから話すのは高校3年生の時、同じクラスだったSの話だ。
そんな彼女への手紙だと呼んでくれたらな、と思う。

◎          ◎

Sと私には、共通の友人がいる。
同じクラスになるまで話すことが少なかった私たち。
高校3年の春。同じクラスだと分かり、「1年間、よろしく」と言葉を交わした。加えて、席も前後だったからいっぱい話してたっけ。
選択授業が被ってたときは、よく私の方を振り向いて話しながら、プリントに落書きしてたね。

この当時の私には、移動やお昼を一緒にするグループがいて。Sも同じように移動などを一緒にするMという子がいた。
Sはその子と食べていた。私がSとそのMと一緒に食べるようになったのは体育祭前の5月半ば。
ある日、突然私はそのグループからハブられた。厳密にいえば、そのグループにいる「1人」にだ。
最初は気のせいだと思ったが、最初の2日ぐらいはそのまま食べていた。だけど、私を避けるように床に座って食べるところを見て、ハブられていると確信した。
その次の日から、私はそのグループには近づかずに自分の机でお弁当を食べようとした。

その時だ。「ひばり!」と、後ろから名前を呼ばれて。
振り返るとSと、彼女の相棒と言うべきMがいた。
「一緒に食べよう」
彼女の何気ないその一言。あの時の私にとって、とても嬉しくて救われた。
「いいの……?」と聞く私に「当たり前じゃん」と2人は言ってくれた。
嬉しかったなあ。
その日を境に、一緒に行動するようになった私たち。バカみたいに笑ったりしてた1日1日がとても楽しかった。
誕プレでくれた当時好きだった俳優さんの写真集。嬉しくて、照れ臭かったな。

◎          ◎

いつからだっただろうか。Sと前みたいに話せなくなったのは。
その異変に気付いたのは、今と同じような時期だったと思う。
彼女を囲む人が増えていた。人見知りする私は人が増えると、話すタイミングを探し過ぎるあまり喋らなくなり、相槌を打つだけになってしまう。今思えば、それがいけなかったのだ。
素っ気ない態度をされるようになって。「Sに何か怒らせるようなことをしちゃったのかな」そう思うようになった。
直接聞く勇気がなくて、LINEで聞いた。返ってきた返事は、NO。
馬鹿正直に言うわけないよね、と思いながら彼女からの返信を眺めていた。
もしかしたら、誰かに言ってるかもしれない。そう思って、お互いの共通の友人にそれとなく聞いてみた。
「ひばりと話が合わない。こっちに話を合わせてる気がする」
Sはそういう風に言ってたようだ。なんて言われているのか覚悟はしてた。だけど、実際目の当たりにすると形容しがたい気持ちになった。

彼女の言葉に心当たりがないといえばウソになる。でも、それは前のグループみたいにハブられたくない。嫌われたくない。そんな思いでいっぱいだった。それに人が増えるとコミュ障が発動すること。そのことを、ちゃんと、伝えていたら違っていたのかなと思う。
彼女の心の声を知ってしばらくしてから、私は彼女の元から離れた。
当時の私には面と向かって話すという選択肢がなかったのだ。

「相性が合わない」と言えばそれまでだけど、でもちゃんと言いたかった。たとえ、自己満足だとしても。
笑って卒業したかった。「ありがとう」って言いたかった。「ごめんね」って言いたかった。

◎          ◎

Sへ
元気にしてますか? 
私たちが高校を卒業して数年が経ちましたね。
3年生に進級した日。私の名前の前にあなたの名前があって、近くに話せる子がいて良かった、と思いました。
あなたとMで過ごした時間はとても楽しかったです。外周走で、一緒に走っててラストスパートでダッシュした私に笑いながら「お前裏切ったな!」って言ったね。それは本当にごめん。裏切ったつもりはなかった。マジで。
あの時、一人でお弁当を食べようとしていた私に「一緒に食べよう」って誘ってくれてありがとう。
「何があったの?」と気にかけてくれてありがとう。
あの時、人が増えると中々話せなくなることを言わなくてごめんなさい。嫌な思いをさせてごめんなさい。
差し伸べてくれた手を、仇で返してごめんなさい。

こんなの私の独りよがりにすぎないけど、ちゃんと伝えたかったんだ。
本当は、直接言いたかったけど、あえてエッセイという形で伝えることにした。

もし、次会う機会があったら「久しぶり」って声をかけたい。

ひばり