いつの間にか12月だ。
仕事を終えて帰路につく途中の街並みもすっかり赤や緑にきらきらと照らされ、サンタやツリーのイラストをあらゆる場所で見かける。もうすっかりクリスマスかぁ。
そんなことをぼんやり思いながら歩くと、目の前に大学生らしき女の子たちが数人で歩いている。同じサークルなのか、自作のプリントが施されたお揃いのパーカーを着てわいわいはしゃいでなんだか楽しそう。私にもそんな時があったなぁ。
意識は9年前(もう9年前?!)の学生時代へと飛んで行った。
9年前、私は夜学部の短大に通っていた。
皆さんは「夜間学部」と聞くと、どんな印象を持つだろうか。
私はその学部の入学前も、社会人になってからも“苦学生”という印象を周りから持たれがちだった。私自身も入学前は多少の不安を抱えていたものの、学生時代を振り返るとすごく楽しかったし、充実した濃い3年間だった。これからその思い出の1つについて書こうと思う。
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2013年のクリスマスが近づくある夜、当時学生自治会のメンバーだった私たちは、
私「せっかくクリスマスなのに授業なんてやだね~」
Nちゃん「分かる!クリスマス感皆無なんだけど!」
Yちゃん「そんなこと言って、みんなバイト三昧だから元々予定ないじゃん(笑)」
Aちゃん「そうだ、せっかくだからMの家でクリスマスパーティーしようよ!」
Mくん「俺んち?!別にいいけど、6人も入れるかな~」
Rちゃん「よーし!みんなでケーキとチキン食べよー!」
と、私含めた同級生6人で、自治会メンバー唯一の男子であるMくんの家(選定理由は学校からすぐの場所に1人暮らしをしていたから)でクリスマスパーティーをすることになった。
12月24日。21時過ぎに授業が終わり、みんなでMくんの家に向かった。
途中で近くのローソンで予約していたチキンとクリスマスケーキを受け取り、ついでにスナック菓子とポッキーを数種類。スミノフを人数分と数種類のチューハイも買って、みんなで袋を手分けしながら歩く。
通常なら10分の道のりを、今日の授業が眠かったとか、このお菓子美味しいんだよとか、喋りながらのんびり歩いたから30分ほどかかったけど、けらけら笑ってすでに楽しい。
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家に着いてチキンやクリスマスケーキ、あとはスーパーで売られているトースターで焼く安くて美味しいピザや買ってきたお菓子をローテーブルに広げる。それを6人で囲みながら座ったら、あっという間にすし詰め状態になった。
「クリスマスの夜なのにみんな授業お疲れー!カンパーイ!」
Aちゃんの音頭に合わせてスミノフをみんなで片手に持ち、かちん!と乾杯。
「うまー!」とチキンを頬張るAちゃんに、ピザを黙々と食べるNちゃん。これ好きなの!と、ココナッツサブレをみんなにすすめたRちゃんは、美味しそうにそれを食べてる。家主のMくんは女子5人の圧に押されてピザを焼いたり、台所からお皿を持ってきてくれたりしている。本当に気が利く。私とYちゃんもバイトの話をしながら、Aちゃんみたいにチキンにかぶりついた。「このチキンうまー!」
チキンやピザに舌鼓を打ちながら、バイトで怒られた話とかサークルの話とか、Mくんの気になる人が別の学部にいるらしいからみんなで応援しようとか、本当になんてことない話をチューハイやココナッツサブレ片手に永遠と繰り広げた。
途中でMくんとYちゃんと、追加のお酒を買いに行くために外に出た。
外は12月で寒いのに部屋に熱がこもっていたせいか、楽しくて興奮してるせいか、あんまり寒さは感じなかった。不思議だ。
3人でぷらぷら歩いているとき、私はふと思った。
「めちゃくちゃ大学生っぽい」と。
思わず口に出すと、何言ってんのー?うちら短大だけど大学生じゃん!と、2人ともお酒が入ってるからかいつもより大きな声で笑って返された。
思い返しただけで本当に楽しいクリスマスだった。
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高校3年生の時、色々な事を考えて夜間の学部への進学を決めた。
だけど進学した当初、昼間はバイト漬けで夜間に勉強するという生活を始めた私にとって、高校の同級生の楽しそうな大学の話やサークルの話を聞くのがしんどい時があった。
だけど、勝手に「夜学部だから」と何もかも諦めていたのは自分で、夜間だったけどサークルも入れたし、自治会に入ったことでかけがえのないこんな楽しい思い出もできた。
自治会の会長に推薦されて、時にはこのメンバーと衝突することもあったけど、会長の職務も全う出来た。
諦めず腐らずにいる気持ちと勇気があれば、どんなことでも挑戦できるんだなと思えた3年間だった。夜学部の短大に進学して得たものはたくさんあったなと思う。
こんなにはしゃいで、夜更かししたクリスマスは、きっとこれからも無いと思う。
それくらい鮮明に思い出せる楽しいクリスマスを過ごせて、私をたくさん支えてくれた当時のメンバーに心から感謝したい。
一緒に3年間頑張れて本当によかった、ありがとう。