ハロウィンが終わり、街がクリスマスの雰囲気を帯びてきた。
何の変哲もなかった街路樹にも電飾が施され、夜道を明るく照らしている。
クリスマス関連の雑貨があちこちの店頭で並び、部屋のクリスマスデコレーション欲をくすぐる。
ショッピングモールに行けばクリスマスソングがエンドレスで流れ、12月の到来を告げている。
アクセサリーショップに並ぶクリスマスギフト用のジュエリーが、ライトを反射して眩しい。目が痛くなるほどに存在を主張していた。
今年も私には縁遠いものと思って、ショップを素通りした。 

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今年はクリスマスマーケットも復活の兆しを見せていて、懐かしさを感じた。
クリスマスマーケットで飲むホットワインは格別で、おいしい。
毎年デザインの変わるマグカップも魅力的だ。
寒空の下、白い息を吐きながらマグカップを手で包み、息を吹きかけて飲むホットワインが美味しいのだということに気づいた。
スーパーで売っているグリューワインの購入に踏み切れなかったのは、クリスマスマーケットで飲む特別な飲み物だと、私の中では位置づけられているという理由があるようだ。

クリスマスマーケットと聞いて、問題を先送りにして、ギリギリまで保留にしてしまう癖を思い出した。
全く関係ないように見える2つだが、私の幼少期の体験が関係している。

それは私が小学校低学年の時だった。祖母と叔母とでクリスマスマーケットに行った。
クリスマスマーケットに行くのが初めてで、私はとてもワクワクしていた。
その日は、クリスマスマーケットは屋外だからと、防寒対策を施して行った。
ところが、日が暮れてクリスマスマーケットに着いた時に、ふと手袋がないことに気づいた。
クリスマスマーケットに行く前にショッピングモールにも寄っており、その道中で落としたに違いない。

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祖母はクリスマスプレゼントに新しい手袋を買ってくれると言ったが、手袋を落としたことを母親に祖母と会うその日、つまり新しい手袋をもらう日まで言えなかったのだ。
怒られるだろうなと思ったり、失くしてしまった後ろめたさ、日付が経つにつれなぜすぐ言わなかったのかと言われてしまうのではないかという気持ちがあったことを覚えている。
早く母親に報告すれば、ショッピングモールに手袋の落とし物がないか確かめることもできたはずで、先送りや後回しにして良いことなんて一つもないのでは?と思う。

しかし、社会人になった今でも、解決策が分からなくて気が重い仕事など、自分の中でまとめてから上司に相談しようと思っていると、タイミング逃してしまい、締め切りが近づいてきてから慌てて相談するという事態に陥ってしまっている。
対応が分からないものこそ早急に相談し、自分だけの仕事ではなく上司も巻き込んで共通認識にある仕事にした方が良いというのは、頭では理解している。
今回このエッセイを通じて、先送りにするという自分の悪い癖を改めて認識したので、困ったときこそ先送りにしないということを日頃から心掛けていきたい。