一人暮らしをする前までは、家にいることは好きだけど、そんな広くない実家にはゆっくりする空間はなかった。

子供部屋はあっても姉妹の為、同じ部屋で過ごす時間が多く、喧嘩は絶えなかった。
家族に対してのモヤモヤ・イライラもあるし、外で色々あった時のストレスもうまく吐き出せる場所もなく、一人で抱え込んでいた。

今思うと遅い反抗期だったかもしれないが、家族のことは嫌いではないけど話したくない。
本当は親に話したいこともあったし、色んな感情を自己完結して気ままに過ごしたい。
だけど、吐き出せるところがなくて、家に帰ってほっと一息つきたいのに家に帰りたくない。

帰る場所があるのに帰りたくない。そんなもどかしい気持ちはあった。

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学生時代に一瞬だけ、一人暮らしをするかと話が上がったことはあった。
けれど、それはすぐに白紙にした。都内に住んでいるとわざわざ一人暮らしする気は湧かなかったからだ。

自分で処理していくしかないと思い、帰りたいのに一人で地元をプラプラしてゆっくり帰ったり、家族から出かけを誘われても断って家でゆっくり過ごしたりと、なんとか向き合っていた。

社会人になっても同じように過ごしてきた。
学生の頃とは違ってお金があるが、それでも自分の好きなことにつぎ込みたいと思っていた私は、30歳までには家を出ればいいかな〜とぼんやり考えていたら、色んなご縁により地方で住むことになり、初めて一人暮らしを始めることになった。

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自分好みに家具を揃えて始める一人暮らしはワクワクした。
けれど、やっぱり最初は戸惑うもの。
実家にいる頃は、お風呂掃除や洗濯物を干すなどの家事の手伝いはしていたつもりだったが、特にキッチンに立って料理することはほとんどなかった。

私の中ではあるあるだと思うが、食材のもちはどのぐらいなのかネットで検索しがちなのでは?と思っている(あと電子レンジ最強説)。
掃除の頻度や洗濯表示を見ても正解がわからなくて、親に何度も確認をした。

とはいえ、何度も繰り返していくうちに自然になれてくるもの。
段々と、仕事の日と休みの日の家事をうまく使い分けることでルーティンができてきた。
私の場合はルーティン化した方が隙間時間ができてその時間に他のことにあてられる為、自分の時間を活用できるようになってきた。

学生時代、親元から離れて一人暮らしをしていた友人が「親のありがたみを本当に感じる」とよく口にしていたが、本当にそうなのだ。
親って偉大である。
今まで全てのことを親に(特に母親)頼ってばかりだったが、それを家族全員分と名もなき家事もこなしているとそれだけでも疲れが出てしまう。

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そして、今までは家族がいることで一人でイライラばかりしていたが、一人で生活するようになってから家族に対して謎のイライラは自分時間と場所がなかったことに気づく(これは我が家の部屋事情が大きいかもしれない。親には一人部屋を与えられなくてごめんねと謝られた)。

家族と離れて暮らすことで、「実家っていいな」と思うようになったし、家族と話すことで「家族と過ごす時間っていいな」と思うようにもなった。
定期的に家族とあって実家に帰ることで、家族との距離感が保たれる。

今は、家族と過ごす時間を大切にしていきたいと思うようになった。
今後のことを思うと、自分の時間や場所が、結婚して同居するようになったら以前のようには行かなくなる。

だけど、一人暮らしの経験は活かせると思っていて、自分自身や家族など同じ家の中で過ごすためにどうバランスよくとっていくのか向き合うことで生活できていくのではないかと考えている。