もし、今目の前に百万円があったら、どう使う?
それを考え始めた時、正直かなり悩んだ。
色々やりたいことや欲しいものはある。美味しいものも食べたいし、旅行もしたい。何の役に立つかもわからないようなくだらないものを買ってみたい、という気持ちもある。
百万円。
何とも言えない微妙な額だ。一生働かなくても良いような大金ではないし、思い切り使ってしまうとなるとためらってしまう金額。高級ブランドが好きで、率先してそこにお金をつぎ込む人であれば、百万円なんて簡単に使えてしまうのだろうけれど、一切ブランドものに興味がない私にとっては、あまり「使い切る」というイメージが持てない金額でもある。
考えているうちに「貯金」という言葉が頭をよぎったけれど、それはつまらないような気もする。
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そこまで考えてふと思いついたのが、「本を買うこと」だ。
読書は私の唯一と言ってもいいような趣味だし、本を買うのであれば、百万円使い切っても後悔はしない。
読みたい本が大量にある私にとって、本の購入費は結構な負担だ。ハードカバーの新刊を買うと、一冊二千円くらいにはなってしまうから、いつも文庫本を買っている私。だけど、文庫化を待たずして好きな本を買い漁ってみたいという気持ちは常にある。もし、百万円全てを本の購入に費やしたとしたら、一冊二千円だとしても五百冊は買える。文庫本だったら、もっと買える計算だ。
五百冊、好きな本を集められる。
想像しただけで、心が躍る。
好きな作家さんが書いた本。好きなジャンルの小説。好きな映画の原作本。
たくさんの「好き」を本棚に詰められるなんて(最早、本棚には入りきらないけれど)なんて幸せなんだ、と思う。「こんなにたくさん読み切れない」と思うことすら楽しいはずだ。
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もし、百万円で本を買うとしたら、私はまず小説を買う。純文学、ファンタジー、恋愛、ホラー、ミステリー……。その時は、出来るだけ色々なジャンルのものを集めるようにしたい。小説は、読むだけで主人公と物語の世界を旅することが出来る。心揺さぶられる表現に出会うこともあるかもしれない。だから、読めば読む程、感性が豊かになっていく気がする。
次に買いたい本は、図鑑や実用書だ。世界には、私の知らないものがたくさんある。地球には、どんな生き物がいるのか。天気はどんな風に変わっているのか。車や飛行機は、どんな仕組みで動いているのか。そんなことを知れば知るほど、きっと私の世界は広がっていく。
写真集も買いたいと思う。特に風景写真が良い。出来るだけ、色々な景色を見てみたい。そして、「ここだ」と思う景色に出会えた時、実際にその場所に行ってみたい。
私にとって、本は可能性そのものだ。読むと想像が広がり、知識も得られる。そうすると、やりたいことが、どんどん出てくる。読んだ本の数だけ、未来へ一歩進める気がするのだ。
そう考えると、読書にかけるお金も、立派な投資と言えるかもしれない。
だから私は、「百万円をどう使うか」という質問にこう答える。
百万円を使って、私専用の図書館を創り上げると。