「今何してる?」
「会いたいんだけど」
「私の事、どれくらい好きだった?」
「なんであの時、浮気したの?」
「復縁しよ~~~~~」
そう。私は酔った勢いで元彼に連絡をしてしまう、いわゆる「面倒な女」だった。
シラフの時は、傷つくことが怖くて思っていることや聞きたいことを口に出せない臆病者なのに、酔っている時、限定で本音をズバズバ言い、甘えたくなる人だった。
最後は決め台詞のように「迎え来て」と頼み、一生恨んでやると思っていた元彼を都合よく使い、俗にいうアッシーにしていた。

◎          ◎

夏、人生で最大の大失敗をした。
心友の誕生日パーティーを兼ねた飲み会をした日の事だった。
いつも通り面白おかしな話で盛り上がり、お決まりの延長コースも終盤に差し掛かったころ、お店に頼んでいたサプライズプレートが登場した。
思い出の曲に合わせて登場したのは、私が依頼していた心友へのバースディーメッセージが書かれた誕生日プレート。
驚きながらも喜ぶ心友を見ていると、目の前にもう一枚のプレート。酔いが回って視界がぼやけながらも見ると、店員さんの好意で準備された私達(双子)のお祝いプレートだった。
後から聞くと、仲がいい店員さんが用意してくれていた。
お酒も酔い度もMAXになり、嬉しい気持ちと感動の気持ちが爆発して涙が溢れた。
特に意味もないお決まりの乾杯コールでお酒もガブガブ飲み、若気の至りで一気も共有し合った。
ハイボールにワインに焼酎……。
飲みすぎが原因で、全てマーライオンした(察してください)。
ここから先の記憶は全くない。

◎          ◎

気づいたら元彼の腕の中にいた。
私が中々泣き止まず、元彼に会いたいと言っていたから、心友が呼んでくれたらしい。
はっきりとした時間は覚えてないけれど、日付が変わっていたのは確かだ。
それなのに夜遅くに呼び出して片道30分かけて迎えに来てくれて、終いには心友たちの事も送り届けてくれたようで頭が上がらない。
私のお家に着いても元彼の家に帰ると駄々をこねて困らせた。
しっかり記憶が戻った時には、朝だった。

無残な姿を見せたのに、とことん優しくしてくれた元彼。
恋人同士だった時は、彼女である私を放っておいて遊びまわっていたので、優しくしてもらったことが嬉しくて味を占めていたのかもしれない。
「随分と楽しかったんだね、酔っ払いおねぇさん」と笑う彼。
付き合っていた時はわがままも言えない臆病者だったからこそ、お酒の力をいいことに彼に見せる第二の私は幸福度でいっぱいだった。

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「酒は飲んでも飲まれるな」と大人になってからよく聞く言葉だが、お酒で失敗してしまった自分が恥ずかしかった。
ドラマでよく見る、酒に溺れる女を経験するとは思ってもいなかった。
自分はそんなことしないと過信しきっていたので、とても驚いた。
その日から、お酒の飲み方を変えようと心に誓った。
まず、すぐ元彼に連絡することをやめた。
その次に、記憶が無くなるまで飲むのをやめた。
それでもやっぱり、酔ったら涙もろくなる癖は抜けない。

世間の感染症流行で、以前よりも外に出る回数はめっきり減ったのは残念だけれど、こんな私にとって一石二鳥なのかもしれない。
数少ない外飲みでも自分に合った量のお酒を飲み、羽目を外しすぎない程度に飲んでいる。
一度失敗した経験から学び、大人のストレス発散方法を噛みしめながらまた一歩成長できた23歳でした。

楽しくなるとお酒も進んでしまうけれど、「自分の身は自分で守る」を教訓にしていこう。