私は職場のイベントで、手話の歌を発表した。
その様子を見て、上司は「手話の仕事をするといいと思う」と、言ってくれた。
そして、まだ勉強を始めたばかりの頃に、
「手話の勉強に挫折しそうになったら、手話の歌を見てくれた、みんなの感動してた顔を思い出して」
と上司から言われ、「何があっても頑張るぞ」と思った。
でも、挫折しそうになった日が、本当にやって来た。

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暖かくて、気分がぼんやりする春。私の受講している手話奉仕員養成講座は、入門編から基礎編へと進み、授業内容が難しくなってきた。
そんな中、私は悩みを抱えていた。
「いつか就職したいんだけどなぁ」
私は発達障害があり、福祉施設で働いていた。精神面の健康にも自信がなく、就職したくてもできなかった。
「せめて副業でもできたらいいのに」
今後の仕事のことを考え過ぎて、手話の勉強の意欲は少しずつ薄れていった。

手話講座も行きたくないなぁと思いながらも、頑張って参加すると、やっぱり手話の勉強は楽しかった。
それでも、私の仕事に対する悩み事は続いていた。私は、少し手話に興味がなくなってきたのを感じ、「今日も手話講座に行きたくないな」と思った。
家を出る時間になり、バス停まで足を運んだ。

「やっぱり行きたくない」
そう思って家に引き返した。家に入ると母に、
「今日は休む」
と言うと、母から、
「行きなさい!講座は遊びじゃないんだよ!!」
とすごく叱られて、私は泣きながらまたバス停へと足を運んだ。
何度も家の方向へ戻ったり、バス停へと進んだりを繰り返し、「行かなきゃ」と私は会場へと走り出した。
遅刻はしたものの、無事に会場に着き、講座を受けた。

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その後も、手話が楽しいと思う時とつまらないと思う時もあって、気分に波があった。手話の勉強のスランプは続いた。

でも、ふと私は、今まで出会った聴覚障害者の人たちを思い出した。
もし私が手話の勉強をやめてしまったら、聴覚障害者の人たちはなんて思うんだろう?
私が思い出したのは、私の手話の歌を見て、感動してる職場の人たちの顔ではなかった。聴覚障害者の人たちの顔だった。
「その人たちのために、手話を頑張りたい」
私は決意した。手話の勉強、続けよう。

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手話奉仕員養成講座、閉講式の日。
私は出席率が高かったため、受講生代表に選ばれ、受講生、講師の前でスピーチをした。落ち着いて笑顔で、手話を表した。

閉講式が終了した後、他の受講生から、
「スピーチ良かったよ」
「期待の星だね」
と言われて、嬉しかった。

その後、私は地元のボランティア活動の、手話の会に入会した。
精神面の体調により、私のできることは限られてくる。それでも、少しずつできることからしていきたい。

私が手話に興味を持ったきっかけは、小学生の頃の福祉教育。いつか私も福祉教育に、次は講師として参加して、また誰かが手話に興味を持ってくれたら、とても嬉しい。
だから私はこれからも、手話の勉強を続けていく。