「文章を書くということ」、そして私が文章を書く理由について少し書きたいと思う。

私にとって文章を書く行為は、自分の気持ちをそのままに書いて、そのままそこに残しておくことだと思っている。
もちろん大学のレポートや就職活動のエントリーシートのように体裁を整えながら文章を書くこともあるけれど、誰に見せるでもない、本当に思ったことをただただつらつらと書くことが、どうにもならない自分の内に取り巻いている感情を外に吐き出し、そこに存在させてくれる。

残しておきたい言葉がある。残しておきたい気持ちがある。それは幸せなことだと思う。嬉しいと思うことも、楽しいと思うことも、悔しいと思うことも、切ないと思うことも。私は生きているんだということを確認できる瞬間を、私は残しておきたいと思う。

◎          ◎

前置きはこれくらいにして。私は文章を書くということが割と好きだ。でも好きになったのは最近のことで大学生になってからである。

きっかけとなる大きな出来事はないが、大学一年生の時、一日も学校に通えず、一人になる時間が格段に増えたことが一つの理由だと思う。高校を卒業し、今の大学に入学。受験がうまくいかず、正直第一志望の学校ではなくて、これからちゃんとやっていけるのかと悶々としているところで、コロナ禍による自粛期間に突入。その時の私は文字通り死んでいるように生きていた。

特に目標もないから動けないし、でも何もしていないと今日も何もしなかったという罪悪感で押しつぶされそうになるから、バイトを週六で入れて、忙しさで気持ちを紛らわそうとしていた。一日一日をこなすように生きていた。

◎          ◎

ある時、「イライラしたときや、憂鬱な気持ちになったときは、その気持ちをノートに書きだしてみると気持ちが整理されて冷静になれる」という内容の記事だったかテレビだったかを見て、私もやってみようと思った。

いざ書き出してみるとどんどん出てくる。もうめちゃくちゃに書いた。すると確かに気持ちが楽になった。愚痴を誰かに話すことと似たような感覚なのかもしれない。

それからというもの、ああ今日はダメな日だったなとか、今日はわりかし良い日だったなとか、思いのままに書いた。毎日書くとかそういう条件を課してしまうと途端にできなくなる性格なので、書こうと思った日に好きなだけ書いた。
次第に思ったことだけでなく、これは面白いなとか、これは大好きだなと感じた言葉や出来事も残すようになった。日常を面白がれるところまで元気になった。

◎          ◎

つい最近のこと。私は昔からお笑いが好きで、常に芸人さんたちのネタを摂取して生活しているのだが、バイト先の先輩に「お笑い好きの視点から見るM-1の感想を教えて欲しい」と言われたので、せっかくだからちゃんとした形にしてみようと思い、レポートのような文章にしてまとめた。

素直にここのワードが面白いとか、ここのネタの構成がすごいとか、個人的にはここが好きというポイントを一組ずつ書いていき、ついでに各組のYouTubeで見ることができるおすすめのネタを添えて、その先輩に送った。

すると先輩から返信があり、私が書いたレポートをとても面白がってくれて、文章も読みやすくて良かったと言ってもらえた。すごく嬉しかった。

◎          ◎

誰に見せるでもない殴り書きのような文章を書き溜めていた、あの頃の自分へ。

続けていれば、いつか褒められる時がくるぞ。今は苦しいかもしれないけれど、その苦しい気持ちに折り合いをつけるようにメモに言葉を残して、耐える。そうすることで苦しいのは時が解決してくれるのがわかるようになる。世の中を面白いと思えるようになるよ。
自分が面白い、好きだと思ったものを他の人と共有することができるようにもなる。

今もたまに絶望するし、悔しいことも多いけど、メモに残っているのは暗いものばかりじゃないから。