突然だけど、皆さんは「はじめてばこ」を知っているだろうか。
これは赤ちゃんが生まれた家庭が対象で、希望すると育児グッズやアルバム、食品などが詰められたボックスを無償で受け取ることができる民間のサービスだ。調べてみると都道府県によって名称が「すくすくばこ」だったり、ボックスの中身が異なったりしているようだけど、ほとんどの都道府県で実施されているようだ。

私はこの「はじめてばこ」の存在をテレビCMと、出産したばかりの友人のInstagramで知った。私はまだ結婚もしていないし、出産する予定も今はないけど、この「はじめてばこ」はとても素敵なサービスだと思ったし、他にも私たちの人生の様々なターニングポイントでもこんなサービスが準備されていればいいなと思った。

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例えば、初めて生理を迎える時。
私はその当時、周りの同級生より少しだけ早く生理を迎えた。学校では性教育で生理の授業を受けたけど、内容もそこまで濃くなかったり、クラス内で冷やかしがあったりのおかげで、私はぼんやりとしか知ることができなかった。
だから、自分が思っていたよりも早くきてしまったそれに、私はものすごく動揺した。授業中の冷やかしのせいで“生理=恥ずかしい”という印象がついてしまって、母に「生理が来たかもしれない」の一言を伝えるまでに何度も躊躇して、伝える直前は心臓が変にどきどきした。

クラスメイトにも自分の悩みを相談したいけど、その子がすでに生理を迎えているかも分からないし、もし相談して友達としての距離が開いてしまったらどうしよう、なんて考えて相談も気軽に出来なかった。
生理用品が入ってるであろうポーチをこっそり持っている同士を、お互いに偶然見つけてやっと、「ポーチ持って行くのなんか恥ずかしいよね」とか「お腹痛くない?」とか、悩みを少しずつ話せるようになった気がする。自分の母に質問するのもなんだかできなくて、その時に私が頼りにしていたのは頼りなかった学校での授業内容と、ティーン雑誌の特集ページだった。

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もしそんな当時の私たちに「初めて生理を迎えたときのはじめてばこ」があったなら。
内容がデリケートだから、生理の授業中で質問するなんてできなかったけど、生理の仕組みや毎月起こりうるPMSの症状を分かりやすいマンガにまとめた冊子があれば、自宅でそれをじっくり読むことで誰に冷やかされることもなく、ちゃんと自分の身体に起こる変化を知り、受け入れる心構えができたと思う。

また、生理を迎えてから生理用ナプキンやタンポン、その大きさも昼用に夜用など違いがとにかくたくさんあって、「こんなに生理用品って種類があるんだ」と、最初の頃はとても戸惑った。
だから、様々な種類のサンプルが1つずつ入っていれば、特にタンポンなど自分が普段使い慣れない生理用品を使う練習をすることができるし、これまでは知らなくて活用できていなかった生理用品の選択肢が広がる。この経験が一度でも出来ていれば、生理と旅行などの大事な予定のタイミングが重なっても、自分の楽しみを「生理のせいで」と、諦める機会は少なくなると思う。

他にも、少しでも生理痛が和らぐような腹部に貼る用のカイロが入っていたり、身体を温めるための成分が含まれたかわいいパッケージの入浴剤とかが入っていたりしたら、生理をマイナスの面だけで捉えることなく、「自分の身体を労わる大切な期間なんだな」と、感じることができるんじゃないかと思った。

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他にも出産前の女性向けや、シニア世代の女性向けなど、その年代の迎えるターニングポイントによって悩みや不安も多種多様だから、そんな不安が少しでも軽減できるよう、年を重ねても悩みをポジティブに捉えられるプレゼント的な存在である「はじめてばこ」があるといいなと思う。私は女性だから女性目線の「はじめてばこ」が思いついたけれど、男性目線で考えると、きっとそれも思いつくはずだ。

年齢によっても、男性か女性かによっても、悩みは異なるけれど、きっと誰しも一つは悩みも不安も持っているはずだ。
今も外国では争いごとが起きたり、コロナウイルスが落ち着いたかと思えば猛威をまた振るい始めようとしたり、商品の値上げが続いたり、ネガティブな話題ばかりが世間を賑わせている。そんなただでさえ苦しい毎日の中で新たに起こる心身の不調や悩みを、少しでも減らせるような明るいサービスがあるといいのになぁと思った。
これからの日本が子育て世代はもちろん、すべての世代の人々にとって少しでも生きやすい世の中になりますように。