マスクをつける生活が当たり前になった。この生活がこんなに長く続くとは思っていなかった。マスクをつけ忘れる、なんてことはまずないし、目的や気分に合わせておしゃれなマスクを選ぶようになった。
数年前の世の中では考えられないことだ。

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マスクを気兼ねなく外して生活できる世の中に戻ってほしいが、不安もある。
今までずっと顔の半分を隠してきたし、ここ数年で出会った人の大半も顔の半分しか知らない。元々自分の容姿にコンプレックスを抱いていたため、マスクなしの素顔を見られるかもしれない未来が少し怖い。

先日たまたま見つけたSNSの投稿にショックを受けた。自分の顔が嫌いでマスクを外したくない、と言っていた女子高生の素顔が、文句なしの美人だった。
このレベルでマスクを外せないというのなら、私がマスクを外したらどうなるのか。生きていけないかもしれない。

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幼い頃から容姿がコンプレックスだった。
まずは鼻。周囲の子に比べて大きいのだ。顔の中心のパーツが大きいだけで、顔全体が不恰好に見えてしまう。また、寒い時や鼻づまりがする時は、すぐに赤くなってしまう。小学生の時、朝の健康観察で風邪気味だと教員に伝えたら、「確かに鼻が真っ赤だね」と無愛想に言われた。クラスの視線はいちごのように赤い私の鼻に注がれた。あの時の恥ずかしさは一生ものだと思う。

そして目。さほどコンプレックスを感じていなかったのだが、小学生か中学生のある日、人気の女性芸能人やクラスの可愛い女の子は、共通して目が二重であることに気づいた。一方で、私は奥二重。二重になったらもう少しましな顔になるのだろうと、爪楊枝の頭や櫛の細い持ち手部分で瞼が二重になるよういじっていたこともある。

いずれにせよ、取り柄が少ないと感じていた当時の私は、少しでも見た目をよくしたかった。しかし、あれこれ言い訳をして、そのための努力をしなかった。小学生の頃、コンプレックスを相談していた保健室の先生に「大人になると気にならなくなるよ」と言われた。当時はまだ子どもだったので、半信半疑だった。

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2020年、コロナウイルスが流行し、生活様式が一変した。
流行初期の頃、緊急事態宣言で極力自宅で過ごしていた私は、新たな趣味を見つけた。YouTube鑑賞だ。旅行が好きだったので、動画で旅行気分を味わおうと旅動画を観始めたのだが、エンタメ、音楽、ファッションなど、芋づる式に幅広い動画を観るようになった。数ある動画ジャンルの中に「コスメ」と「美容」があった。

もともと最低限の身だしなみさえできていれば、と思っていた私だったが、数多くの動画でアイテムやテクニックを知り、気がついたら毎日コスメや美容に関する動画を観ることが日課となっていた。そして、動画で得た知識をアウトプットしている自分がいた。

昔から嫌いだった鼻はノーズシャドウで見た目を変えられると知った。動画の通り試してみると、すっぴんよりスッキリとした鼻立ちになった。メイクでここまで変わるのか、と二十代半ばにして初めて知った。
他のパーツのメイクも積極的に試した。奥二重を綺麗に見せるメイクは現在勉強中だが、最近K-POPを中心に奥二重や一重のビジュアルについて評価が高まっているので、頑張りすぎず、ちゃっかりその波に乗りたいと思う。

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同時にスキンケアにも力を入れている。スキンケアのアイテムはほぼ一式揃え、毎日使っている。最近はバーム状のクレンジングを取り入れていて、化粧落としと顔のマッサージを同時に行っている。おかげで、素肌を褒められる機会が増えた。

自分磨きに興味を持つようになってから、少しだけ自分に自信を持てるようになった気がする。好きな服を着て、それに合ったメイクをすることがこんなに楽しいとは。たとえ気持ちが落ち込んだ時でも、少し無理をしてでもメイクをすると、気持ちが落ち着いたり、かすかに気持ちが弾んでしまう自分がいる。「メイクは魔法」という言葉をよく聞くが、大人になって信じられる魔法が存在するとは思っていなかった。

今より少し、素顔に自信を持てるよう、楽しくメイクや美容を学び、取り入れていきたい。だからといって、お金を使いすぎないように。これは今の私から未来の私への忠告だ。