“推したい友人”と聞いて、ポンッと思いつく一人の友人がいる。
他でもない。あの子だった。私からしてみれば、親友と言っても過言ではない。あの子以外思いつかない。
「これが親友というものか」と実感するほどの仲なのだが、親友と呼んでいいか?と聞いた時、「親友だとかえって重くなっちゃうからやめておこう」ということになったので、“親友”という呼び名は私の胸の内に秘めておくことにした。

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彼女は、初めて出会った頃はこんなに光り輝いていなかった。
彼女はどちらかというと、“裏方”のようなタイプだった。いつもなんとなく、人より一歩下がって接しているような感じで、笑う時はまるで仮面を被って笑っているようだった。
私はその仮面の下に、本当は言いたい本音があるんじゃないかと思っていた。

高校2年生の文化祭のステージ。そのステージはまるで風刺画だった。
自分のマルチな才能というドレスをひらめかせて舞台で踊りたい私と、人より一歩下がって接するその子を表すように、“私”と“その子”の係は“ステージ”と“裏方”だった。
私は初めて同じ教室で“仮面の笑顔”を見た時、心に誓った。
「いろいろ聞きたいことはあるけれど、私からズケズケ聞いても嫌な思いするだろうし、そもそも話してくれないと思う。だから、この子が自ら胸の内を話すまで、何年でも待とう」
こうして、同じクラスのその子と私は、私の中で教室で特に仲がいい二人になった。
同じ美術部ということもあって、私たちはより一層仲良くなっていったのだが、今ほど仲良くはなかった。本当にふつうの友達って感じ。
実はここからグンッと仲良くなったのは卒業してからだった。

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ある日、私は駅地下のスターバックスに呼び出された。
そこでその友達に一言、こう言われた。
「私、フリーランスをやろうと思うんだ」

???
これが私の本音だった。

「これ、家族にも誰にも言ってないの。ピッピに初めて言ったんだ」
私の頭は真っ白だった。だいたい、フリーランスについて私は何も知らない。
彼女をガッカリさせたくないけど、何も知らない私がいいよって言っていいものなのだろうか。
でも……なんの根拠もなかったけど、私はそのキラキラ輝く彼女の瞳を見て、信じてみよう、応援しよう、と思った。
「私は正直、フリーランスってなんなのかよく知らないし、不安なところもあるよ。いいよって言っていいのかもわからない。でもね、ポッポのこと信じてみようと思うよ。ただひとつ、本当に危ない目に遭いそうになったら逃げてね」
私は彼女の目をしっかりと見て言った。
彼女はまた目をキラキランと輝かせて「大丈夫だよ!」と言った。

そのフリーランスをスタートに、彼女はさなぎから羽ばたく蝶々のように次々とやりたかったことを開花させていった。
長かった髪をバッサリ切り、ずっとやりたかったヨガのインストラクターをし、イベンターさんと知り合い、今では都内のいろんなところでヨガ教室を開くようになった。
そして、そのイベンターさんを彼女が私に繋げてくれ、今に至るまでたくさんの大切な人とのご縁を繋げてくれた。

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彼女の顔からいつの間にか、仮面はなくなっていた。
彼女は心からのキラキラ輝く笑顔になっていった。
とても美しかった、可愛かった。そして、初めて見た。
3年経って彼女は自ら心を開いてくれたのだ。
「ピッピありがとう。ここまで来られたのもずっとピッピがそばにいてくれたおかげだよ」
出会って解き放つまで3年、解き放ってから4年。
今でも彼女はそう私に言ってくれる。
なにもしていないのに……。涙があふれてくる。

それどころか、私も彼女にたくさん支えられた。
たくさん話を聞いてくれて、時には言葉も話せないくらい泣いていた私の話を電話越しにずっと聞いてくれたり、彼女と出かけるとポジティブで綺麗な話をするから自然と心が癒され前向きになる。
私の体感としては、私は彼女とただ一緒に居ただけ。ただ一緒に話しただけ。
だけど、彼女は私のことを「心の支えだよ」「ピッピだけが唯一弱音を吐ける人だよ」と言ってくれる。
ただそばで一緒に居るだけで、大切な人の力になれるんだとこの時初めて学んだ。
「この子は控えめな子だから、私が引っ張ってあげなきゃ」と学生時代無意識に思っていた立場が逆転して葛藤もしたけど、私も彼女のようになれば夢は叶うかなと思って必死に追いかけたりもしたけど、それは私が成長して、「現状をすべて受け入れよう」「あの子と私のペースはもともと違うから自分のペースでいこう」と思えて、すべて消化できた。

影だった彼女が今、光となって私を引っ張っていってくれる。
あなたが太陽、私は月。
恋人でもないよ。夫婦でもない。
でも、末永く歩んでいこう。最愛の友よ。