来年の私は、ボストンマラソンを完走している。
未来の私は、サブスリーを達成している。
そして、そのずっと先の未来の私は、おばあちゃんになっても直向きに走り続けている。

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期間限定の駅伝部がきっかけで剣道部から陸上部に移動した中2の暑い(熱い)夏。
何となくランニングが趣味で気分転換に走っていた私が、「走ること」に本気で夢中になり、あっという間に魅了された。
練習中の良い緊張感、走った後の爽快感、大会で記録が出た時の達成感、家族や友達の応援だけでなく、キツくて苦しい練習でさえも身体いっぱい楽しめた。
「仲間との切磋琢磨できる環境」が私に大きな衝撃を与え、「走ること」での生き甲斐を知った。
高校・大学・社会人と時が進むにつれ、中学時代の仲間とは走る機会はなくなった。
私自身もどこかのチームに身を置くわけでもなく、地道に独り走り続けた。

大学になり、「マラソンを完走する!」という新たな目標を達成した。
いつか走りたい……と、マラソンを始めるきっかけとなった長年の夢のホノルルマラソンも去年、無事完走した。
シカゴマラソンでは、ボストンマラソンを申し込む資格のためのタイムを切ることもできた。
「マラソンを完走する!」という目標から、いつしか「サブスリー達成!!」と意識の高い目標を掲げて走るようになっていた。

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そんな中、アメリカに引っ越してきて、様々なバックグラウンドを持つランナーに出会い、更に走ることの「本質」を深める機会が増え刺激を受けたのだ。
世界5大マラソンを走るおじさんランナー、心臓の手術を経て70代になってもハーフマラソン走りきるお爺ちゃんランナー、ボストンマラソンを何度も経験するランニングショップのオーナー、アメリカの陸上マガジンの表紙を飾ったことのあるお婆ちゃんランナー、いつも地元のレースで独走し表彰台を独占する若い兄ちゃんランナー、車に轢かれて奇跡の回復から走り続けている女性ナースランナー……。
そんな、色んな背景を持つ、色々な経験を積んできたランナーばかりで周りが溢れているのだ。
そして、彼らが「走ること」を通して私の人生に大きな影響を与え、私の人生のロールモデルとなった。
また、「ランナー」繋がりの人脈をもっともっと増やしていきたいと強く思うようになった。

そうして、「走ること」「ランニング」を通して出会った私と旦那は、旅行先では地元のランニングクラブに混ざって走り、彼らと情報交換したり交流することが新たな共通の趣味となったのだ。
靴さえあれば、自分のペースでいつでも・どこでも始められるランニング。
走れば走るほど、ペースやタイムや距離にこだわり目標も高くなるばかりだが、大人になっても、母親になっても、お婆ちゃんになっても、年齢問わず「ワクワク出来ること」「熱中できること」があることはとても良いことだと思う。
そして何より、「走ること」を通してこんなにも年齢・性別・国籍を超えての出会いが出来ることに、今も走り続けているからこそ発見できた、人生の大きな収穫だと体感する。

未来の私は、この人生を走り続けているお婆ちゃんで在りたい。